ピアノは何歳から始めるべき? 脳科学から徹底的に考えてみた。
ピアノをはじめとする楽器の演奏には、指を正確に動かしたり、音を聞き取ったり、楽譜を読んだりなどの緻密な作業が要求されますからね。
脳には、発達しやすい年齢というものがあります。米国の高名な人類学者リチャード・スキャモン(1883~1952)によれば、20歳時点での脳の発育度を100%とすると、4歳ですでに約80%、6歳では約90%にもなっているそう。それ以降の発達は非常にゆるやかです。
つまり、脳が急激に発達している4歳までのあいだ、脳に刺激を与えることが重要だといえます。すると、できれば4歳までに、遅くとも6歳になる前にはピアノを始めているべきだというわけです。
ピアノを何歳から始めるべきか3:体は充分に発達しているか
子どもの能力を伸ばすには早いうちからピアノを始めたほうがよいとはいえ、肉体的な制約というものがあります。やはり、体幹が発達して椅子に座れるようになるまでピアノは弾けないでしょうし、鍵盤を押すには力も必要です。
子どもは何歳からピアノを習えるのでしょうか?
執筆や講演活動を行っているピアノ講師・笹田優美氏によると、ピアノは幼児の体にとって大きいだけでなく、指に負担もかかるそう。そして、体の骨格が安定するのは「6才前後」だそうです。
もちろん、発達の速度は人それぞれ。子どもによってピアノを始めるのが何歳からなのかは異なります。笹田氏によれば、小学生になって「身体と脳のバランスが整ってくる」のを待ってからでも遅くはないそうです。
とはいえ、小学生になるまで音楽に触れないというわけではありません。上述のとおり、4歳までに人間の脳は大部分が形成されています。笹田氏によれば、リトミック(身体を用いてリズムを学ぶ教育法)やダンスなど、体を通じて音楽を感じる体験がおすすめだそうですよ。
ピアノを何歳から始めるべきか4:じっと座っていられるか
ピアノを習うのであれば、大人しく椅子に座り、先生の指示に従わなければなりません。それにはある程度の肉体的・精神的成長が不可欠ですね。このような能力は何歳くらいで身につくのでしょう?
お茶の水大学子ども発達教育研究センターが2004年に発行した『幼児教育ハンドブック』によると、体を自分の思い通りに動かせるようになるのは2歳から。指先の動きも急速に発達するそうです。しかし、全身のバランス感覚が発達するのは4歳からなのだとか。