家庭でできる哲学対話に挑戦したら……我が子の「実はこう思ってた」に驚いた!
「愛とは何か」「賢いとはどういうことか」「どういう状態を自由と呼ぶか」、さらに貧富の差や人種問題に関係する問いを子どもたちが話し合うのですが、びっくりするほど世界を鋭く観察し、物事について深く考えている子どもたちの対話の様子は、観客を大変驚かせたといいます。
「こども哲学」は大人も変える!
哲学・哲学教育を専門とする立教大学の河野哲也教授は、「『こども哲学』では、哲学的なテーマについて子ども同士で対話をすることで、他人と合理的に議論する力、自分自身で自律的に考える力を養うことができます」と述べています。
議論といっても、哲学対話はただの意見交換とは違います。子どもたちが同じテーマについて異なった意見を関連づけて対話を広げて深めていくことが目的です。普段の授業では、子どもたちは唯一の正解を求められますが、この『こども哲学』では自分の考えを素直に述べることが求められるのです。
ここで、実際にどのようなことがテーマになるか、例を挙げていきましょう。河野教授が監修を務めたNHK Eテレの子ども向け哲学番組『Q〜こどものための哲学』では、次のような「子どものギモン」をテーマにしていました。
・ふつうってどういうこと?
・なんで勉強しなきゃいけないの?
・なんでお母さんはいつも怒るの?
・カッコイイってどういうこと?
普段お子さんから「ねえねえ、これってどういうこと?」と聞かれるような内容ばかりですね。
ここで「お母さん忙しいから、あとでお父さんに聞いて」と子どものギモンに向き合うことを避けてしまっては、思考力と対話力は身につきません。それはお子さんだけではなく、親御さんも同じです。
逗子で「こども哲学教室」を主宰し、親子で哲学対話することをテーマにした『自信をもてる子が育つこども哲学ー“考える力”を自然に引き出す』(ワニブックス)の著者である川辺洋平氏は、「『こども哲学』は親子の相互理解を深めます」と述べています。
なぜなら、哲学対話を通して、子どもは物事を深く考える思考力が身につき、親は子どもの発言や考えていることを理解できるようになるからです。子どもの思考力と対話力を引き出すだけではなく、親にとっても子どもとの関係性を見つめ直すよいきっかけになる「哲学対話」。ご家庭でも取り入れてみたいと思いませんか?
子どもたちと哲学対話をするときの注意点
川辺氏が代表を務めるこども哲学教室・アーダコーダでは、子どもたちと哲学対話をするにあたって、次のようなルールを決めています。