お弁当作りには学びがつまっている! 「生きる力」を育てる「弁当の日」ルール
“BENTO”ブームが欧米を中心に巻き起こり、今やその言葉は世界共通語になりつつあります。アメリカのランチボックスといえば、サンドイッチにりんごが定番の簡単なものですが、日本のお弁当は「栄養バランスがよくヘルシー、しかも見た目も綺麗!」と高く評価されています。
小さなお弁当箱の中には、作り手の愛情、気遣い、センス、こだわりなどなど、さまざまな “想い” が詰まっています。その様は、まさに “日本の文化・美徳” で、とても日本的です。
そんな「学びが詰まったお弁当作りを子どもたちに」とブームを起こした方がいらっしゃいます。子どもたちが自分でお弁当をつくることによって「生きる力」を身につけてもらおうとされたのです。このすばらしい取り組みと、効果についてご紹介します。
地方の小学校で始まった「弁当の日」
「弁当の日」は、2001年に香川県綾川町立滝宮小学校の校長だった竹下和男氏が始めた取り組みです。
その効果が認められ、徐々に広がっていきました。その結果、2018年12月には、全国で「弁当の日」を実施する学校はなんと約2,000校に達するほどに。共同通信社がこの活動を支援しており、関連イベントなども実施されています。
竹下氏が「弁当の日」を始めるにあたっては、さまざまな “壁” があったそうです。例えば、刃物や火を扱うことによる安全性の確保、家庭環境の違いによる弊害、授業時間の確保、親の負担など。
しかし、何か新しいことを始めるときに問題があるのは当たり前。それを凌ぐメリットがあるのならばやるしかない。「案ずるより産むが易し」と決断、スタートを切られたのです。
■滝宮小学校「弁当の日」ルール
1. 弁当をつくるのは子ども。保護者は手伝わない。
2. 「弁当の日」の対象は5・6年生のみ。
3. 献立、食材の購入、調理、盛りつけのすべてを子どもたちの手で。
4. 実施するのは10月以降の第3金曜日で月1回。年間で5回。
※調理に必要な最低限の知識や技能は、1学期をかけて、5・6年生にだけにある家庭科の授業で指導する。
この取り組みが広がった現在、「弁当の日」は学校により独自のルールで実施されています。
福岡県福岡市立愛宕小学校の稲益義宏先生は、「弁当の日」導入に際して生じるいくつかの難題を、独自ルールによって解決しました。まず、「弁当の日」は遠足などの行事のときのみ。