子育て情報『「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには “決定的に足りない” 時間がある』

「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには “決定的に足りない” 時間がある

という不安を解消するため、親が思う解決策を与えようとしているわけです。

でも、子どもはこれから親の価値観を超えた世界で生きていかなければなりません。親が与える解決策はあまり意味がないといっていいでしょう。まずは「親は無力である」と親が自覚することが大切です。子どもは親が思っているよりもたくましいものです。子どもの生きる力を信じてあげましょう。

「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには “決定的に足りない” 時間がある


いまの子どもには「ぼーっとする時間」が足りない

そして、あれやこれやと習い事をさせる代わりに、「ぼーっとする時間」を与えてあげてください。少しでも時間があればなにか習い事を詰め込もうとする親がいるために、いまの子どもたちにはその時間が圧倒的に足りていません。


この「ぼーっとする時間」は人間の成長にとても重要なものです。そういう時間があって、「暇だな」「なにをして過ごそうかな」と子どもははじめて自発性を発揮します。そして、「じゃ、本を読もう」「映画を観よう」などと考える。そこで、「なにをしているときに自分は幸せなのか」と知る。それが「人生の羅針盤」になるのです。

その羅針盤を持たないまま成長すると、人生のあらゆる場面で進むべき方向を自分で決められない人間になってしまいます。たとえどんなに優れた能力を秘めた人間であっても、その能力を使うこともできないでしょう。

塾や習い事にこれだけ多くのレパートリーが出てきている時代、わたしは皮肉を込めて「そのうち、『ぼーっとする時間』を売る塾というものができる」といっています。
「子どもメディテーション教室とかね(笑)。仮にそんなものができても利用することなく、子どもが本当に「ぼーっとできる時間」を大切にしてあげてください。

「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには “決定的に足りない” 時間がある


『中学受験「必笑法」』
おおたとしまさ 著/中央公論新社(2018)
「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには “決定的に足りない” 時間がある
■ 教育ジャーナリスト・おおたとしまささん インタビュー一覧
第1回:過当競争極まれり。難関中学への“逆転入学”が子どもに弊害をもたらしている
第2回:「間に合わせの学力」では人生厳しい。「本質的な学力」を伸ばす“1日10分”の学び
第3回:学力は人並程度あればいい。「新たな時代」を生き抜くためには“3つの力”が必要だ
第4回:「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには“決定的に足りない”時間がある

【プロフィール】
おおたとしまさ
1973年10月14日生まれ、東京都出身。教育ジャーナリスト。

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