「頭の力」には「心の力」こそ必要。EQが高いと優秀な子に育つ納得の理由
「EQ」とは、知能指数と呼ばれる「IQ」に対して、「心の知能指数」と呼ばれる概念のこと。このEQの重要性を提唱し、『子どもの未来が輝く「EQ力」』(プレジデント社)を上梓したのが、EQWELチャイルドアカデミーの主席研究員・浦谷裕樹先生です。EQが高いと、なぜ「子どもの未来が輝く」のでしょうか。
構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/榎本壮三(インタビューカットのみ)
「頭の力」をうまく使うにも「心の力」が必要
そもそもわたしがなぜ、「EQ」に注目することになったのか――。今回はそんな話からはじめてみます。わたしは学生時代から能力開発に興味を持っていました。つまり、「人間はどこまで伸びるのか」ということを突き詰めてみたかったのです。
日本の教育は、どちらかというと「どうやって底辺にいる子たちの力を伸ばして全体の底上げをするか」という発想に基づいたものです。そうではなくて、トップ層にいる人間の能力はどこまで伸びるのかということに興味があった。そんな経緯もあり、そういう研究を国内でも大きな規模でおこなっているEQWELチャイルドアカデミーに入社することになったわけです。
そして、幼児や小学生、中高生の能力開発トレーニングに携わるうち、学力をはじめとしたさまざまな能力向上のベースにあるものこそEQだということに気づきました。学力を向上させる「頭の力」には思考力や記憶力などがありますが、それらをうまく使うにも「心の力」であるEQこそが必要なのです。
EQの高低によって人生はまったくの別物になる
EQには、自己肯定感、忍耐力、協調性、やり抜く力、自制心、共感力、リーダーシップ、誠実さ、創造性、コミュニケーション能力……など、さまざまな要素があります。これらの力に優れているかどうかで子どもの人生はまったく別のものになるということは、容易に想像できるものでしょう。
EQが低ければ、まず自分の感情をうまくコントロールすることができません。
そうすると、学校でも家でも問題を起こすことになる。友だちとはしょっちゅう喧嘩をするし、親のいうこともまともに聞かない。あらゆることに対するやる気も持てなくて、やるべきこともやれない。自己肯定感が低ければ、なにをやろうにも「自分はどうせ駄目だから」とマイナス思考に陥って、せっかく持っている才能を活用することもできないでしょう。
一方、EQが高い子どもはどうなるか。