親子で絵を語ろう! おうちで楽しめる「対話型鑑賞」のやり方とアート素材の入手方法5選
私が実際に本作品を使って対話型鑑賞を行ったときの子ども達の発言も、
・最初は怖かったけれど、子どもの夢の世界だと思う
・動物たちが子どもを優しく見守っているように感じる
と次第に変わっていきました。子どもを取り囲む動物の優しい眼差しには、我が子を愛する親御さんの姿が投影されているのかもしれません。
優れた作品は、深い人間理解が込められているために、根源的な怖さを秘めているものです。子どもは、そのような作品の本質を敏感に感じ取る力を持っています。
【作品例3】抽象的な作品例
最後は、アーティスト Monique Virelaude による抽象的な作品を例に挙げましょう。
子どもたちは、抽象的な作品を、様々な具体物に見立てていきます。これまでの鑑賞会でも、「テーブル」「コップとトースター」「ベッド」「氷」「雪国」など、子どもによる様々な見え方が示されました。子どもの中でどのように見えていても、決して否定せず、とことん聴いて、受け止めてあげましょう。
実は本作品は、これまで私が実施した数多くの鑑賞会の中で、子どもたちに最も人気のある作品のひとつです。たとえどのようなモノに見えていても、子どもたちは「あたたかみがある作品だ」という印象を持ち、「きっと優しい人が描いたのだろう」と作者像にまで思いを馳せていきます。
子どもたちは作品の「あたたかみ」や「優しさ」を、描かれた具体的なモノからではなく、場面構成や形状、色、タッチなどから自然に感じ取っているのです。大人はこうした子どもの感性を摘み取ることなく、大切に育む手助けをしていくことが大切です。
親子の対話型鑑賞を成功に導く魔法の言葉 & NGワード
親御さんの発言は、子どもにとって圧倒的な力を持っています。親御さんの発言次第で、子どもの感じ方や考え方が決定づけられてしまうこともあります。子ども自身が抱く印象や考えの発露を阻害しないよう、十分に気をつけながら対話を進めましょう。
特に「きれい、優しい、楽しい」のような印象を語る言葉、「ママ(パパ)はこう思う」という判断を下す言葉を、大人から言うことは控えましょう。
そうではなく子どもに、本人が抱いた印象や子ども自身の判断を自発的に語らせることが大切です。
そのためには、子どもの発言を親御さんが復唱して理解を示し、そのうえで「どう感じたの?」「どう思ったの?」