「店員さんに叱られるよ!」はNG。「子どもを伸ばす我慢」と「ダメにする我慢」
「子どもが我慢できなくて困っている」という悩みを抱える親は多いものです。しかし、我慢には、子どもにとって良い影響をもたらすものと、そうでないものがあることをご存じですか?
今回は、子どもの成長に欠かせない我慢と、子どもをダメにしてしまう我慢についてご紹介しましょう。
「我慢できる子ども」は将来伸びる!
生きていくうえで、我慢しなければならない場面は多々存在します。スーパーで買い物をしてレジの行列に並ぶときや、車の運転中に赤信号で止まるとき。怠けたくても学校や会社に行かなければならないときや、人間関係……。
もし我慢ができなければ、多くの人に迷惑がかかったり、事故やトラブルが起こったりするのは当然。子どものうちから我慢することを覚えるのは、協調性を育てて周囲の人々と良好な関係を保つために、そして社会の一員として生きていくために、欠かせないことなのです。
また、米コロンビア大学の心理学者ウォルター・ミシェルが考案した「マシュマロ・テスト」という実験では、我慢と学力に関係があることが示されています。
この実験は、186人の4歳児の目の前に1個のマシュマロを置いた状態で「しばらく我慢すればマシュマロを2個食べられるけど、もし今すぐにマシュマロを食べてしまったら2個目のマシュマロは食べられないよ」と告げたあとの様子を観察し、自制心の高さを測るというもの。その結果、マシュマロを食べることを我慢して2個目のマシュマロを獲得できた子どもは、全体の2~3割しかいませんでした。
そして、マシュマロ・テストを受けた子どもたちが22歳になるまで追跡した結果、当時我慢できた子どもは我慢できなかった子どもに比べて、青少年期に問題行動が少なく、アメリカの大学入試で標準的に用いられているSAT(大学進学適性試験)で平均より高い点数を取っていたことがわかったのです。また、成人後の肥満指数が低く危険なドラッグなどに手を染めていない、さらに対人関係が良好で自尊心が高いとの報告もありました。幼少期に我慢できるかどうかは、その後の人生に大きくかかわってくるといえるでしょう。
しなくてもいい我慢、させてない?
しかし、子どもの我慢する力を育てたいからといって、何でも我慢をさせればいいというわけではありません。
文京学院大学大学院特任教授の平山許江氏によれば、子どもに我慢をさせすぎると、次第にやる気を失い、「やりたい!」