何枚着せる? 冬の洋服選びの注意点。親が神経質になるのはNGです
東京の1月の平均最低気温は1~2℃です。しかし、小学生の登校風景を見ていると、オーバーコートを着て手袋をはめ、寒さ対策をしっかりしている子どもがいる一方で、半ズボンで元気に登校している子どももちらほら混じっています。
半そでの子どもに「寒くないの?」と声をかけてみましたが「寒くない!」という返事が返ってきました。この違いは何でしょうか。今月号ではそんなこともみなさんと一緒に考えていきたいと思います。
子どもの体がおかしくなってきている
人間は恒温動物です。恒温動物は、外気温が変化しても自分の体温を一定に保つ機能をもっています。
しかし現代は、暑くなったらクーラー、寒くなったらすぐに暖房、と快適な環境が保障されるようになったため、体温調節機能が低下し、最近では寒さにも暑さにも弱い子どもが増えているといいます。
一般的に、北国で育った人は寒さに強く、南国で育った人は暑さに強い傾向があると言われています。これには科学的な根拠があるのです。生後3ヶ月までに「寒い」という体験をさせると、寒い時に体温を上げる機能が発達します。逆に、3歳ぐらいまでにたくさん汗をかくような体験をさせると「能動汗腺」の数が増えるので、汗をたくさんかいて体温を下げる機能が発達し、暑さに強い体になるというわけです。
故正木健雄先生(日本体育大学名誉教授)は、1990年代ごろから、子どもたちの低体温が増えてきていることを懸念されていました。自律神経の働きも含めて、子どもの体がおかしくなってきているというのです。今は、暑さにも寒さにも弱い子どもが増えているように思います。
冬に「半そでで大丈夫」という子どもは、体の中で熱をつくる働きが強いのです。このように、「子どもは風の子」の生活を取り戻したいですね。
寒くても外遊びが重要な理由
年齢が小さければ小さいほど、体と心の働きは強くつながっています。ですから、体を動かすことによって心も動きます。家にこもっていると、単に運動量が減ってしまうということだけでなく、意欲や集中力なども低下してしまうのです。
かつて保健室登校をしていたお子さんの話をしましょう。そのお子さんは、場面緘黙(かんもく)と言われるほど学校では言葉を発することがありませんでした。ある日、保健室で一緒に紙ひこうきを作って、外に連れていき、ひこうき飛ばしの競争をしました。
飛ばした紙ひこうきを何度も拾いに行き、たっぷり汗をかくほど体を動かしたところ、そのお子さんは「先生、僕の勝ち!」