自己決定力がある子どもは幸せになる! “自分で考え、決められる子” はどう育てるの?
国連の「世界幸福度報告書」における日本の幸福度は、2017年で51位、2018年は54位、2019年にはさらに4つ順位を下げ58位になってしまったそうです。
世界から眺める日本はとても豊かな国ですが、所得水準と幸福度が必ずしも相関しないことは、1970年前後から指摘されているのだとか。
そんな背景を踏まえて行なわれたある調査研究では、日本人の幸せに「自己決定」が重要であると示されました。今回は、子どもが幸せになるための「自己決定力」について探ります。
所得、学歴よりも「自己決定」が幸福感に強い影響
神戸大学社会システムイノベーションセンターの西村和雄特命教授と、同志社大学経済学研究科の八木匡教授は、日本国内の2万人に対するアンケート調査をもとに、次の5つの項目と、幸福感とのかかわり合いを分析したとのこと。
ちなみに、3番目にある「自己決定」の評価は、自分の意思で進学や就職(中学→高校への進学、高校→大学への進学、初めての就職)を決めたか否かによって行われました。
その結果――健康、人間関係に次いで、「自己決定」が幸福感に強い影響を与えていると明らかになったそうです。つまり、所得や学歴が高いより、「自己決定度」が高いほうが、幸福感が高くなるということ。
これを受け、神戸大学社会システムイノベーションセンターは次の見解を述べています。
自己決定によって進路を決定した者は、自らの判断で努力することで目的を達成する可能性が高くなり、また、成果に対しても責任と誇りを持ちやすくなることから、達成感や自尊心により幸福感が高まることにつながっていると考えられます。
(引用元:国立大学法人 神戸大学 (Kobe University)|所得や学歴より「自己決定」が幸福度を上げる2万人を調査)※太字は編集部が施した
国連の世界幸福度報告書では、日本は「人生の選択の自由度が低い」国であると述べられているのだとか。そうしたことからも同センターは、今回の分析結果が注目に値すると述べています。
この調査研究からわかるのは、自分の子どもを将来幸せにするためには、ただ勉強して学力をつけさせればいいというわけではなく、「自己決定力」も育んであげるべきだということ。では、「自己決定力」とはどういうものでしょう?
児童における「自己決定力」とは?
子どもの判断や決断は、ほんの些細なことから始まります。