子どもを「“エンジンがでかい”賢い子」にするための、親の心得
できない子ができる子を逆転しづらい時代
この子のように、子どもがしっかりと地頭を使えるようになるためにも、わたしは先取り教育をおすすめします。ときどき、「先取り教育を受けた賢い子は、そのまま伸び続けるのでしょうか?」といった質問を受けることがあります。おそらく、「そうではない」という答えを期待する人も多いでしょう。
でも、現実問題でいうと、近年は勉強が苦手ないわゆるできない子が、先取り教育を受けてきたできる子を逆転するという現象が起きづらくなっているように思います。
それには、大きくふたつの理由が考えられます。ひとつが、いまの子どもたちのメンタルが非常に弱いこと。もっというと、そのメンタルを厳しく鍛えることが世間的にハラスメントだとしてやれなくなっていることも大きい。勉強をさぼって周囲から遅れはじめた子どもに対して、学校や塾の先生が叱って一生懸命に勉強させようとすると、その行為がハラスメントだと取られる。
そうすると、できない子を一生懸命に指導しようという先生もいなくなりますから、できない子ができる子に追いつくことが難しくなるのです。
もうひとつの理由が働き方改革です。いまは学校の先生も塾の先生もきちんと休みを取らなければなりません。ですから、正規の授業に加えてプラスアルファの補習が非常にやりづらくなっています。正規の授業だけでは内容を理解できない子どもをフォローできないわけです。
つまり、先の質問に対する正確な回答は、「できる子がそのまま伸び続けるというよりは、できない子ができる子との差を埋めることができず、逆転しづらくなっている」ということになります。
多くの親の教育知識は子どもの頃で止まっている
加えて、いまは公教育が崩壊しつつあることも重要なポイントです。ここ30年ほどのあいだに、教育内容は大きく変わっていないものの、授業の時間は減っています。
そのため、かつてなら公教育だけでも子どもたちが身につけられていたことも、いまの子どもはそうできなくなっています。
では、いまの親は、我が子の学力をしっかりと伸ばしてあげるためになにをすればいいのでしょうか?それは、ここでわたしがお伝えしたようなことを含め、いまの子どもたちをめぐる教育環境の変化をきちんと知るということです。それぞれの業界の最先端でバリバリ働いているような人も、教育のこととなると自分が子どもの頃の知識で止まってしまっている人が多いようです。