“手がかからない子”ほど要注意! 「いい子症候群」が怖い理由と、その防止法
と考えるようになるのです。
もちろん、そういう場面で子どもが自分の気持ちに従って反発するケースもあります。頭ごなしに「そんな学校は駄目!こっちにしなさい!」なんていわれれば、子どもも反発しやすいでしょう。でも、先に述べたように、いい子症候群を引き起こす親は、「あなたのためを思っていっているのよ」という態度を取りますから、子どもからすれば反発しづらくもある。そうして、子どもたちはいい子症候群になっていくわけです。
「母親と娘」に圧倒的に多い、いい子症候群
ここまで、わたしが例に挙げた親の口調が気になった人も多いかもしれませんね。そう、いい子症候群を引き起こす親は、圧倒的に母親が多いのです。加えて、いい子症候群になる子どもには女の子が多いという特徴もあります。
男の子に対しては、最初からいい意味で両親ともにあきらめています。「男なんてなるようになる」「好きに生きろ」というように。でも、女の子の場合はちがう。父親からすれば異性のことはわからないですし、性のちがいを尊重しないといけないという意識が働くのでまだ問題は起きません。
ところが母親は、「娘は自分のコピーのようなもの」だという認識をするケースが多いのです。「自分がこう思うのだから、娘もこう思うにちがいない」「娘の幸せは、こういうものにちがいない」と、娘だけは自分の期待に応えさせてかまわない存在だと思い込んでしまう。そうして、親である自分の希望を娘に最優先させるような言動をしてしまうのです。
いい子症候群の子どもは「アダルトチルドレン」になる
いい子症候群が怖いのは、いい子症候群の子どもたちの多くが、いい子症候群であることに無自覚だという点。
わたしが過去に会った女性を例にしましょう。彼女は、母親からこんな言葉をかけられ続けて育ちました。「お母さんは英語をきちんと習いたかったから、あなたにはそうしてほしい」「お母さんは、本当は学校の先生になりたかったから、あなたにはそうなってほしい」「そうするのが、あなたにとってもいいことだと思うよ」と。彼女は、母親の期待にしっかり応えて英語の教師になりました。そして、それが母親のためにやってきたことなんて思うこともなかったし、自分にとっての幸せだと信じて疑うこともありませんでした。ところが、35歳くらいになったときに、突然、「わたしの人生って誰のものなのか」「わたしの人生は空っぽじゃないのか」