“手がかからない子”ほど要注意! 「いい子症候群」が怖い理由と、その防止法
という思いに襲われて、心が不安定になったのです。
彼女はもう30代でしたから、厳密にいえばいい子症候群とはいえません。いい子症候群の子どもは、大人になったときに、「アダルトチルドレン」と呼ばれるようになります。アダルトチルドレンとは、子どもの頃に自分らしくさせてもらえない体験を重ねることで、大人になってからも、生きづらさを抱えてしまう大人のことです。
アダルトチルドレンの人たちはたくさんの問題を抱えています。先に例に挙げた女性のように、人生自体に空虚感を持ってしまうこともそう。また、職場や家庭などの人間関係においても多くの壁にぶつかります。自分がなにをどうしたいのかということがわからないため、「わたしはこうしたい」という交渉ができないからです。
そうして、我慢に我慢を重ねて不満を限界までため込んだ揚げ句に、「わたしを大事にしてくれない!」と怒りを爆発させるということになる。でも、相手からすれば、自分のことをなにもいわない人の気持ちなんてわかりようがありませんよね。
子どもに「空気を破る」練習をさせる
先に、いい子症候群の特徴として、周囲の空気を過剰に読もうとすると述べました。そう考えると、子どもをいい子症候群にしないためには、子どもに空気を破る練習をさせればいいのです。わかりやすい例なら、先にも挙げた外食の場面など最適でしょう。親の希望など関係なく、子ども自身に自分が食べたいものを真っ先に選ばせてあげればいい。
このとき、親の顔色を伺うような素振りを子どもが見せていたとしたら、危険信号と考えていいと思います。いい子症候群の子どもは、親からすれば親のことを考えてくれて、反発もしてこないし、まさにいい子に思えるでしょう。
でも、手がかからないいい子というのは、のちのちに手がかかる人間になりやすいのです。「なにを食べればいいかな?」というふうな、指示待ちの言動を子どもがするようなら、いい子症候群の兆候が見られますから、要注意!そして、子どもが自分で決められるまで、親は辛抱強く待ちましょう。ここに、欧米と日本の大きなちがいがあります。パン屋さんでの親子の振る舞いを見ていると、欧米人と日本人のちがいがはっきり感じられます。欧米人の親の場合、「なにを食べたい?」と子どもに聞いたら、子どもが自分で決められるまでずっと待ちます。欧米には、たとえ相手が子どもであっても、自己決定を大切にする習慣があるからです。