親の役目は我が子の「自己探究の力」を育むこと。“理想の子ども像”を押し付けてない?
でも、その決まった力だけでは、どんどん変化していくこれからの時代を生きていけそうにありませんよね。そんな時代に必要なのは、知識をただたくわえるだけではなく場面に応じて自分なりに活用し、自ら考えて課題を発見し、その課題を解決していく能力です。コロナ危機のいま、まさにその能力が求められています。
また、これからは国境を越えて人がつながっていく事象がさらに進んでいくと先に述べましたが、そういう意味で大切になるのが多様性の理解と協働力。外国人と一緒に仕事をしているという人はどんどん増えていますが、今後はさらにその傾向が強まるでしょう。そんななかで大きな仕事をしようと思えば、さまざまなパーソナリティーを持つ人たちと一緒に協働できる力が大切になるはずです。
これら、新たな学習指導要領に盛り込まれた「生きる力」が大切だということについては、わたしも基本的には賛同しています。ただ、わたしはもう少し別の視点での能力も大切になるのではないかと感じています。
その能力とは、「自分らしく自分の強みを生かしながら幸せに生きていく力」です。
ただ生きていても意味はありません。この世に生まれてきた以上、やはり幸せな人生を歩みたいものです。そして、幸せとは、やはり誰かに決められたレールのうえを歩くのではなく、自分の強みを生かして自分らしく生きていくことでしょう。しかも、その生き方が社会や周囲の人たちに貢献できるようなことになれば、幸福度はさらに上がるのではないでしょうか。
親の役目は子どもの「自分らしさ」を伸ばすサポート
そう考えると、ちょっと欲張りかもしれませんが、未来を生きる子どもたちにはもうひとつ別の能力も身につけてほしい。それは、「自己探究の力」です。「自分らしく自分の強みを生かしながら幸せに生きていくのがいい」とどんなに思っていても、その「自分らしさ」や「自分の強み」をわかっていなければ、そうすることはできないからです。
そして、親であるみなさんにも、この「自己探究の力」の重要性を知ってほしいですね。親であれば誰もが我が子には期待します。「こんな人間に育ってほしい」だとか、「子どものときに自分が苦手だったことを得意になってほしい」というふうに考えてしまいますよね?親ならあたりまえのことです。
でも、親としての究極の願いは「子どもに幸せになってほしい」ということであるはずです。そこで、ちょっと立ち止まって考えてほしいのです。