生徒への質問までマニュアル化された教育法「ディレクト・インストラクション」の驚くべき効果
つまり、「エビデンスベースド」に基づいた科学的な「画一性」であれば、子どもの成績を上げるのに有効なのです。
算数の苦手はたった3種類に分類できる!
RISU Japanで提供している「RISU算数タブレット」は、明確に「エビデンスベースド」に基づいた算数教材です。会員の方がタブレット上で問題を解いた時間や頻度、点数などを見て、そこからデータを収集し、その大量のデータを教材作成に生かしています。『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』も、このデータから得られた話がメインです。
エビデンスベースドの具体的な利点として、RISUタブレットからわかってきた、算数の驚くべき特徴についてお話ししましょう。
タブレット学習をしている子どもたちの成績を解析したところ、子どもが算数でつまずくときに問題となる単元、つまり「苦手の原因」はたったの3種類に分類できることがわかりました。エビデンスに基づくなら、この3種類を重点的に学習させれば子どもの苦手の大部分はカバーできるのです。
いずれ詳しくお話しすることになると思いますが、このきわめてシンプルな事実も、じつは算数という科目の特徴をよく考えればわかることなのです。
しかし、データとして解析するまで、はっきりとは私もわかっていませんでした。データの力、恐るべしです。
「画一性」を有効活用する
エビデンスベースドに基づいた画一性の利点がおわかりいただけたでしょうか?
もちろん、どんなにすばらしいカリキュラムを組んでも、個人でつまずいてしまう部分はどうしてもあります。RISU算数タブレットでは、そうした個人に説明が必要な部分は、大学生チューターなどがサポートに入るなどして、「画一的に行なう部分」と「個人に合わせる部分」を使い分けています。
「エビデンス」に基づくなら、「画一性=悪いこと」と簡単に決めつけることはできないわけです。どうでしょうか。エビデンスに基づいて教育を展開する意義がおわかりいただけたでしょうか?
この連載では「エビデンスベースド」の考え方から見えてきた算数や勉強にまつわる、さまざまな「事実」をレポートしていきたいと思います。次回は、今回後半に少しだけ紹介した「算数の苦手は3種類に分類できる」ということから始めていきたいと思います。
『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』
今木智隆 著/文響社(2019)