【チェックリストつき】ほめられ中毒から子どもを守る! 自信を育む4つのほめ方
という大規模な研究プロジェクトが発足したことを指します。「子どもたちの自尊心を高めれば学力や意欲が高まり、反社会的行為を未然に防止することができるのではないか」と期待して指導した研究ですが、思いもよらぬ結果になりました。
ひとつは、ほめられ過ぎた結果、自尊心が高まるどころか「ほめられ中毒」になったこと。そしてもうひとつ、実力がともなわないのに「自分はすごい、えらい人間なんだ」という「カラの自己肯定感」が高くなるという意外な結果が出たのです。
中室氏は、「『あなたはやればできるのよ』などと言って、むやみやたらに子どもをほめると、実力のともなわないナルシストを育てることになりかねない」と苦言を呈しています。特に、悪い成績をとった学生に対して、自尊心を高めるような「過剰なほめ言葉」を与え続けると、悪い成績をとってもなお根拠のない自信に満ちた人間になる恐れがあるので、注意が必要です。*3
次に「ほめられ中毒」の子どもの未来を考えてみます。「ほめられ中毒」の子どもが大人になったとき、どのようなデメリットが表れるのでしょうか。
教育心理学者の遠藤利彦氏によると、「ほめられ中毒になると、『常にいい自分でいたい』と思い、親ががっかりするような自分は見せたくないと考えるようになる」のだそう。その結果、難しい課題に挑戦するのに臆病になってしまうと言います。*4
さらに前出の林氏によると、「ほめられ中毒になると、より強い言葉でないと反応しないようになる」ことから、このような環境で成長した子どもが社会に出ると、「上司から言われたことしかやらない大人」や「ほめられないと不安になる大人」へと成長してしまう可能性が高いと指摘しています。*2
ここまでの事例をふまえて、中室氏は「ほめてはいけないのではなく、重要なのはその『ほめ方』である」と結論づけています。次項では、子どもを「ほめられ中毒」にしないほめ方について、詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。*3
子どもをほめられ中毒にしない「正しいほめ方」
中室氏が指摘するように、重要なのは「ほめ方」です。では具体的に、どのようなほめ方をすればよいのでしょうか。 お子さんをほめるとき、何も考えずに、何も考えずに「すごいじゃん!」「えらいね!」などと言っていませんか?
もちろんそれだけでも本人は喜び、「もっとがんばろう」とやる気になってくれるはず。