胆道閉鎖症とは?注意するべき3つの症状を知っておこう!【パパ小児科医コラムvol.16】
胆道閉鎖症とは?
「もう少し早く気づいていれば・・・」
そんな声が聞こえてくるようでなりません。今回は多くの人に知ってもらいたい、早く気づいて治療につなげてもらいたい、そんな気持ちで紹介する病気です。その名を胆道閉鎖症といいます。
胆道閉鎖症は新生児期に約10,000人に1人の確率で発症し、合併症により消化管出血や皮下出血、ときに脳出血を起こしてしまう命に関わる病気です。
生後2ヶ月以内・・・できるだけ早くに見つけて手術をすることで、その予後が変わるため早期発見がとても重要です。ただ残念なことに、医療機関でスルーされてしまった事例もあるというのが現実です。
知っておくべき、胆道閉鎖症の3つの症状
病気の発症そのものを予防する方法は今のところありません。できるだけ多くの患者さんが早期発見、治療につながるようにと思います。どのような症状に注意しておけば気づくことができるでしょうか。3つの症状について説明します。
1.黄疸
身体の中の老廃物のひとつとしてビリルビンという物質があります。本来、ビリルビンは胆汁として腸から便へと排出されますが、胆道閉鎖症を発症した場合には便へ排出されず、血液の中に増えてしまいます。これにより皮膚や、目の白目の部分が黄色くなってくるのです。
胆汁については、のちほど詳しく説明します。
2.便の色
胆汁が排出されないため、便の色はうすい黄色であったり、白っぽい便になることが特徴です。母子手帳には早期発見のために「便色カード」が添付されており、赤ちゃんの便と比較できるようになっています。
白っぽい便であれば、胆道閉鎖症を強く疑うことができますが、黄色っぽい便でも実際には病気にかかっているという場合もあり、便だけでは判断することができません。
赤ちゃんの便の色が気になる方は、母子手帳に添付されている「便色カード」を確認してみてくださいね。
3.尿の色
血液の中に増えたビリルビンは腎臓から排出されるので、尿の色が濃い黄色から、ウーロン茶のような褐色のように濃くなります。尿が染み込んだおむつの色を確認するようにしましょう。
上記3つの症状がありますが、「これがあれば胆道閉鎖症」だと判断できるという決定的な症状はありません。ひとつだけで判断すると見落としが起こるため複数の症状を見て判断する必要があります。
胆道閉鎖症で脳出血を起こすのはなぜ?
胆道閉鎖症を発症すると、場合によっては脳出血を起こすことがあります。