ミニマリストやめて! 「物を勝手に捨てる夫」と離婚はできるか
【女性からのご相談】
最近、ミニマリストというものに旦那がハマっています。
自分の持ち物の整理をしてくれるのは大変ありがたいのですが、だんだんに家庭の生活用品まで捨て始め、とうとう私の持ち物まで捨てるように言い始めました。
拒否していたのですが、ある日帰ってみると私の持ち物がごっそり無くなっていました。その中には祖父母の形見や仕事で使うものなど、大切なものが含まれています。
もう、人の物を勝手に捨てる旦那とは一緒に居られません。こういった理由で離婚と慰謝料を請求できるのでしょうか?
●A. 現時点では離婚が認められにくいため、まずは歩み寄りを考えてはいかがでしょうか。
ご相談ありがとうございます。アディーレ法律事務所弁護士の正木裕美です。
夫婦といえど、自分の持ち物を勝手に処分されるのは我慢なりませんね。大切なものも含まれていたとのことで、大変ショックを受けられたことでしょう。
●離婚が認められるための5つ理由
離婚は、パートナーと話し合ってお互い納得して離婚届を出すのであれば離婚できます(協議離婚)。
しかし、パートナーが「離婚したくない」と拒否するときは、裁判で離婚を認めてもらう必要があります 。裁判では、民法770条1項に定める離婚原因がなければ離婚は認められないんです。
離婚原因は、簡単にいうと
(1)不倫・浮気(不貞行為)
(2)同居・協力・扶助義務を果たさない(悪意の遺棄)
(3)3年以上の生死不明
(4)回復の見込みがない重度の精神病、
(5)その他婚姻を継続しがたい重大な事由
の5つで、今回は(5)に該当すれば離婚が認められます。
この(5)は、(1)から(4)に当てはまらないさまざまな理由のときに使われますが、当事者の主観的にも客観的にも、今後夫婦としての共同生活を営んでいくことが不可能で、夫婦関係が破綻しているといえるかで判断がされます。
●配偶者がミニマリストであることを理由に離婚はできるのか!?
判断には、結婚中の夫婦双方の行動や態度、婚姻継続の意思の有無、子の有無、年齢、性格、婚姻期間や別居期間などさまざまな事情が考慮されます。
1度ご相談いただいたようなことがあったくらいでは、まずは夫婦間で話しあって改善する余地があると判断され、離婚が認められるのは難しいと思われます。しかし、裁判例では、結婚18年、別居1年の夫婦で、夫が80歳となり生活力が減少したころから妻が先妻の親戚に位牌を送りつけたり、思い出の品を焼却するなどし、修復の話し合いもできなかったケースで離婚が認められたものもあります 。