優しかった人がナゼ? 「最近怒りっぽすぎる」と感じた時に疑うべき病気
こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。
筆者は以前『パピマミ』に、『おじいちゃんが豹変! 「急に怒りっぽくなった人」に潜む認知症リスク』というコラムを寄稿しました。
そこで、成人でそれまでとは人が変わったように怒りっぽくなったような症状に遭遇したときには、念のために認知症を疑って早期の対処につなげることを筆者自身の体験から提唱いたしました。
ところがこの『易怒性(いどせい) 』と呼ばれる急に怒りっぽくなる症状、その怒りっぽさの質や付随する周辺症状の有無によっては、認知症のみならず、さまざまな精神障害や脳神経外科的な予後のよくない病気に広くみられる症状 であることを、筆者はその後ある悲しい出来事を通して知ることになります。
今回は認知症に限らず「いくらなんでも怒りっぽすぎはしないか」と感じたときに疑ってみるべき病気について、考えてみたいと思います。
目次あんなに優しかったママがなぜ?急激に呈する易怒性には脳の器質的な障害の疑いが脳の器質的な障害が原因の“怒りっぽさ”には周囲のあたたかい見守りと寛容が不可欠
●あんなに優しかったママがなぜ?
同じ町内に、高学年の女の子を筆頭に3人のお子さんがいる30代後半のご夫婦がいらっしゃいました。
お二人ともとても礼儀正しく感じのよいかたで、とくに奥さまは子どもたちに優しく、見ているこちらまでが幸せを感じてしまうほど素敵なママでした。
その奥さまがいつのころからか、朝小学校へ登校する低学年の男の子のことを、人が変わってしまった かのようなきつい言葉と態度で叱りつけるようになってしまったのです。
筆者はその横を通るたびに、「男の子だから厳しくしているのかもしれないけど、あそこまできつくあたることもないのになぁ」と思ったものです。
それから半年ほど経ったころでしょうか、奥さまの訃報が飛び込んできたのは。
奥さまは脳にできた腫瘍 が原因で、あまりにも短い生涯に幕を閉じられたのです。
●急激に呈する易怒性には脳の器質的な障害の疑いが
都内で心療内科・精神科のクリニックを開業するA先生(50代女性)は、下記のようにおっしゃっています。
『易怒性そのものはさまざまな体調不良、とくに精神科領域の障害ではほとんど全てにおいてみられるものです。ただし、あまりにも急激に呈する易怒性には認知症の他にも腫瘍や脳血管障害など脳の器質的な障害が潜んでいる疑いがあり、怒りっぽさの質も他とはやや違う ところがありますので、頭部のMRI検査を行うなどの注意が必要でしょう』
A先生によると、易怒性を呈する一般的な原因には次のようなものがあるとのことです。