コミュ力重視! 若者の“承認欲求”の強さが格差社会に関係しているワケ
女性も男性もいますが、その人たちに共通していることは、「育った環境はどちらかというと逆境だった」という点です。
そして彼らは自分の体験に基づいた願いから、子どもたちの未来が親の経済力によって制約されることのないようにと無料の学習塾や無料の食堂を運営し、しっかりと地域社会から「承認」されています。
普段の彼らは“キャラ”とは縁遠い“地味”な人たちで、おもしろいことを言って笑いを取ることもありません。
むしろ“寡黙”な印象を受ける人が多いのですが、ひとたび自分たちがやろうとし、やっている活動を理解してもらい協力を得たいというときには、並々ならぬ情熱と「承認欲求」をもって語りかけて来るのです。
そういうときの彼らのコミュニケーション能力はとても高い。
若い人たちの承認欲求が強いことは、悪いことばかりではないと筆者は思います。
というよりも承認欲求の強さは昔から、機会になかなか恵まれない若い人たちの原動力 になってきたのではないでしょうか。
斎藤先生が著書で指摘するような『キャラの相互確認に終始する毛づくろい的コミュニケーション』としてだけでなく、機会に恵まれなかった若者が現状を打破するための質の高いコミュニケーション能力 につながるものでさえあれば、“承認をめぐる病”には良い面もあるのではないかと筆者は思うのですが、みなさんはどうお考えになるでしょうか。
【参考文献】
・『承認をめぐる病』斎藤環・著
●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)