リスクが多い? 団塊世代より下の世代が“熟年離婚”を避けるべき理由
こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。
今から10年ほど前、夫の厚生年金を離婚時に分割できるようにした年金制度変更に伴って、わが国の“熟年離婚”の件数は急増し、今や年間4万件に迫る勢いだと言われています。
しかしその一方で、現時点ですでに高齢者になっている世代とこれから5年後10年後に高齢者の仲間入りをする世代とでは、“熟年離婚”というものに対する態度が同じであっていいものなのかと言う人が筆者の旧友の精神科医におり、筆者もそういった意見に関心を持っています。
今回は“熟年離婚”について、一緒に考えてみましょう。
●熟年離婚とは何か。どのような原因で離婚に至るのか
そもそも、“熟年離婚”とは何でしょうか。言うまでもなくそれは“中高年の夫婦の離婚”のことであり、一般的には結婚して20年以上が経つ夫婦の離婚を指します。
言葉そのものは1960年代の終わり(昭和40年代の中ごろ)あたりから存在していたようですが、とりわけ注目されるようになったのは2007年(平成19年)。
それまで離婚したら妻はもらえなかった夫の厚生年金を離婚時に分割できるようにした年金制度変更以降の離婚件数増 からかと思われます。
2014年には年間3万6,800件を超え、25年前と比べて7割増となっているのです。
長い年月にわたって苦楽を共にした夫婦がどうして人生の終盤で離婚を決意するのか。
これまでに数多くの中高年の患者さんから離婚するべきかどうかといった悩みを打ち明けられた筆者の旧友で精神科医のA医師(50代・女性)によると、熟年離婚へと至る原因にはいくつかのパターンがあるそうで、概ね次のようなものだということです。
『妻側の言い分としては、臭くお腹が出て頭も薄くなった夫を生理的に受けつけられない。夫の暴力やモラハラが耐えられない。夫の母親と同じ墓に入りたくない、など。
夫側の言い分としては、ずっと専業主婦であることに疑問も持たずに肥りぬくぬくと生きていることが許せない、などがティピカルなパターンです』(50代女性/都内メンタルクリニック院長・精神科医)
●団塊世代より下の世代が熟年になってから離婚することは、どうなのか
さて、この“熟年離婚”、たしかに件数的にはかなりの数字になりつつあります。
しかし、これから高齢者になる私たちが、現在すでに年金を受給している団塊以上の世代の高齢者の人たちと同じように「俺も熟年離婚するぞ」