子育て情報『夏目漱石もそうだった? 歴史上の偉大な人物には“不良”が多いワケ』

2017年2月28日 20:00

夏目漱石もそうだった? 歴史上の偉大な人物には“不良”が多いワケ

しかし漱石も実はベーブ・ルースやジョン・レノンと同じく、親の愛情には恵まれずに育った人 だったのです。

生家は江戸の町方名主の家でしたが、明治維新で没落して行く中で養子に出され、実父と養父の対立に巻き込まれたりします。

抜群の頭の良さゆえ33歳のときに文部省から英国留学を命じられますが、頭の良い漱石には日本人が近代社会を構成するための大前提である“独立した人格を持つ個人”になれていないことが見えてしまい、神経症に苦しむことに。

『坊つちゃん』に登場する「赤シャツ」や「野だいこ」が“上辺だけの近代人”として描かれているように、漱石は個人の独立を伴わずに表面だけ近代化して行く明治期の日本のあり方 に対して日本で一番批判的な“不良”中年だったのです。

そして、自分自身が「個人主義になりきれない一人の日本人である」という“劣等感”が彼の創作意欲に火をつけます。

漱石は44歳のときに文部省から贈られた博士号の受け取りを辞退しますが、もう一人の明治の文豪・森鴎外が生涯国家官僚の職を歴任したことと対照的です。

夏目漱石は49歳で没するまで、反官の不良大小説家としてその溢れんばかりの才能を爆発させたのでした。

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今、「生き方の押しつけにつながりかねない」という理由で、学校教育の現場で「伝記」はあまり積極的には教材として使われていないようです。


でも、今回お話ししたような“元・不良”たちの成長過程の記録は、必ずしも“優等生”ではないお子さんたちが将来というものに対して希望をもって向き合えるようになるために、とても有効な教材なのではないかと思います。

パパやママにもちょっとだけ「伝記」を見直していただければ嬉しく思います。

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)
●モデル/前田彩(桃花ちゃん)

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