子育て情報『65じゃ若すぎる? 高齢者の定義を“75歳以上”に引き上げるリスク』

65じゃ若すぎる? 高齢者の定義を“75歳以上”に引き上げるリスク

というのは率直な実感であり、これがもし支給開始は68歳とか70歳とか75歳だとか言われたら、気持ちの部分から折れてしまうかもしれません。

金額的には大したことはないとはいえ、これまで1円もごまかさず正直に納税してきた我々「年金受給予備軍」の納税意欲に水を差すのは、国がとる政策としてはどうなのだろうかという気は否めません。

●業種問わず現代の企業の利益の源は“情報通信技術”の部分にあり70代以上には厳しい

筆者の専門である経済思想史的な視点で見ますと、この21世紀序盤のわが国では、国内の市場をメインに営業している企業の業績を分けるキーワードは業種を問わず“情報通信技術”にあります。

製品やサービスそのものは以前からあったようなものであっても、情報ツールを斬新な発想で使いこなすことによって全く新しい価値が生まれる。

昔からあった民宿がネットやスマホをフル活用した「民泊」になったように、シェアリングエコノミーやマッチングビジネスといったものが大黒柱となって国内経済を支える時代が来るでしょう。

その新しい経済の柱部分の直接的担い手としては、70代以上の人というのは厳しいものがあります。

彼らの持ち味は“経験に基づいた引き出しの多さ”ですから、むしろ営利企業という枠の外から若い人たちにヒントをくれる存在として尊敬したいものだと思うのです。

●平均寿命と健康寿命の差が大きいわが国で75歳高齢者説をとることは危険?

『日本老年学会』は、『65歳から74歳までは活発に活動できる人が多く、“准高齢者”と呼ぶべき』といった提言もしていますが、前出のA先生はその提言にも疑問を投げかけています。


『このような立場に立つことは、平均寿命と健康寿命の差が大きいわが国ではリスクを伴います。例えば2013年時点で日本の男性の平均寿命は80.2歳でしたが、介護などを必要とせず健康に日常生活を送れている人という意味での健康寿命は70.6歳 で平均寿命との差が9.6年もあり、主要先進各国の7年程度とは大きな開きがあります。

これには日本の60代以上には世界の中でも認知症の患者数が群を抜いて多いことも大きく影響していることが理由として考えられます。しかし、いずれにしても“平均寿命の長さだけで高齢者の年齢の定義を上方修正することにはリスクがある”ということであり、「表面的に元気に見えるから高齢者は75歳から」

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