楽しみながら判断力をつけさせるメニューや考えて動けるようにする声かけはある?
どこが正しいか、は誰にも決められないと私は思います。
しかしながら、日本の指導者は、「もう少し右だよ」と言って一歩の差を指摘するコーチは少なくありません。
フリーズさせて(プレーを止めて)「そこじゃもらえないでしょ。あと1メートル動かなきゃ」とアドバイスします。そうではなくて、スペースに出せばいいので、そういう練習をすればいいのです。やりながら互いに理解を深めていけば、悪いポジションにいることがわかってきます。
中田英寿さんが現役時代、試合中も誰もいないスペースにスルーパスをよく出していました。味方が反応せず、外に出たり、相手に取られるのですが、それでもそのスペースがあるよと仲間に伝えたかったのだと思います。
見ていると、日本は低学年でパスを使うゲームや練習をほとんどやらせません。メニューが個人技術、クローズドスキルに偏っている気がします。
「ゲームをたくさんやらせましょう」という話をすると、ゲームではスキルが上達しないのではないかと不安そうです。それなのに、試合になると練習していないことを要求したりします。子どもは戸惑います。
スペイン在住の育成コーチでJリーグ理事でもある佐伯夕利子さんがフェイスブックで発信している3~5歳くらいの練習動画と彼女の文章に驚かされたことがあります。
小さな幼児が、どんどんパスを回してゴールを奪っていました。俗な言い方ですが「サッカーになっている」わけです。
■育て急ぐのか、勝ち急ぐのか......。日本と海外の指導者の違い
(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)
佐伯さんは「3歳児には3歳児なりの考え方がある」と書いています。だんごになることもある。成長段階ではそうなることを理解しなくてはいけません。
「年少さんだからだんごでも仕方ないよね。年中になるとこんなふうになったらいいかな」
そんな展望を指導者が持っておく。そのうえで、ゆっくりとサッカーの本質を伝えていきます。
コーチたちがゆっくりと問いかけをしながらやります。決して「だんごはサッカーじゃない」といった言い方はしません。
「みんなここにいるけど、どうかな?味方もいるし、相手もいるよ。とられないところってどこかな?」
そんなやり取りを佐伯さんたちはいっぱいしてきたと思います。
3歳は3歳なりに意見がある。すぐに答えをいうのでなく、ダメでしょではなく。