ゼロ百思考でいきなり「自立しろ」は無理、今どきの子どもに必要な自立へのステップとは
そのまま続けるのか、勉強法を変えるのか。それは子どもがまた考えて、トライすればいいのです。勉強なら、そんな経験を受験にまだ間に合う小学5年生、中学2年生の段階でたくさん失敗することは大切だと思います。失敗している間は、親は極力口出しを控えることも大事なことです。失敗を子どもに負わせ続けることを我慢する勇気が親に必要なのです。
さらに、今は結果を見る時期なのか、経過を見るべき時期なのかを見極めること。勉強なら小5は過程を学ぶときで、小6は結果を見るときです。もっと短いスパンで考えてもいいですね。
今度のテストは算数は結果を見て、苦手な国語はこれまでやってきたプロセスが良かったかどうかを見るとか。結果と過程のどちらに着目するかの基準を持っていると良いと思います。親が子どもにその時、何を学ばせたいかをはっきりすること。それをしないと、結局あれもこれもになってしまいます。
■ゼロか100ではなく、徐々に手を放す
――子どもの自立を考えたときに大切なのは日々の生活なのかなと思います。
そう思います。現在海外で活躍しているサッカー選手の多くは、練習以外の時間を現地の言葉を習得するための勉強などに多くの時間を割いています。そういった努力はほとんど報道されませんが、一流選手たちは練習以外で努力していることがたくさんあります。
親御さんにはそこに気づいてほしいですね。
勉強にしてもサッカーにしても、上を目指すなら生活の部分がとても大事です。親が口を出し、手を出すことのすべてがダメではないと思いますよ。たとえば九九ができない子に割り算をしろと言っても無理なことです。ベースとなる知識は教えてあげないといけません。
教えるステップと手を放すステップが重要なのですが、子どもが失敗することを心配して手を放せない親がとても多いと思います。いきなりすべてのことから手を放す必要はありません。部分ごとに手を放せばいいのです。
例えばサッカーなら、練習場は試合会場まで一緒に行くけれど、準備はひとりでやらせる。試合会場へのアクセスを考えさせて、一緒に行くとか。少しずつで良いのです。いろいろな自立のさせ方があると思います。付くのと離れるのを段階的にすることを意識してほしいですね。中学生になったから、高校生になったからと、いきなりすべてをつき放すのではなく、子どもの様子を見ながら徐々にでいいと思います。