ゼロ百思考でいきなり「自立しろ」は無理、今どきの子どもに必要な自立へのステップとは
そして親もトライ&エラーを繰り返していくこと。親がエラーする様子を見せることも、子どもにとっては「失敗してもいいんだ」という教訓になります。
■親もアップデートが必要
――子どもたちの習い事のスタートが低年齢化していると思います。やはり早く始めないとダメなのでしょうか?
ひと昔前に比べて、塾もサッカーなどの習い事も、スタートする年齢が下がってきています。その結果、小1の段階でうまい子がたくさんいます。小学校から始めようとクラブに入った子が同じ練習をしたときに、幼稚園から始めていた子はできて、小学校から始めた子はできないということがたくさんあります。そんな時に小学校から始めた子が「自分はダメだ」とあきらめてしまう子がいるんです。
できないのではなくて、やり方を知らないだけなのに。
それなのに子どもも親も諦めてクラブを辞めてしまう、これはとても不幸なことだと思います。
正当な競争をさせないことでつまづきやチャレンジがないので、ぬるい環境で甘えが出てきてしまうのです。そして甘えが多いと精神的に幼い子が増えます。そういった子を増やさないためには、正当な競争が必要だと思います。過度な椅子取りゲームは精神的にもきついですが、適度な刺激を子どもに与え続けると考え方は変わってくるはずです。
一生懸命挑戦してみて、それでも思ったような結果が出なかったり、別の目標をに向かうことを決断することもあるかもしれません。ですが、目標を変えることは挫折ではなく新たなことへのチャレンジなのです。親はつい挫折をさせたくなくて手を出してしまいますが、チャレンジととらえられれば、応援することができるのではないでしょうか。
今回のコロナ禍で実感された方も多いと思いますが、10年後どころか、少し先の将来は予想がつかない社会に変化する可能性もあるのです。大人が考えている以上に子どもを取り囲む環境は進化して、これまで以上に変わっていきます。AI、プログラミングなどを小学生時代から学ぶことは、親世代には経験がなかったこと。ですから、親もアップデートが必要です。向上心を持っている親は、子どもへの植え付け方がとても上手ですよ。子どものためにも、自分たちが変わることに躊躇しない親がいいですね。<<前編:今どきの子は実年齢マイナス4歳幼い!?自分の事を自分でできる子にするために小学生の親が心得ておくこと
富永雄輔(とみなが・ゆうすけ)