選手の情熱を掻き立てるのが指導者の務め、全国制覇複数回の元流経柏・本田裕一郎監督が語る目標達成への「早道」とは
「日本人のよさというのは、挨拶や礼儀正しい行動、場の雰囲気を察知したり、相手の表情を見ながらうまく会話を運ぶことだと思うんです。しかし『LINE』だと単にスタンプを押すだけで意思疎通が成り立つ。そればかり多用していたら、目で会話をしたり、相手の思いを汲んで物事を進めていく力は身に付きません。人間関係も希薄になり、サッカーのようなチームスポーツをやるうえでは大きなマイナスになります。現場に立っていて2~3年前から生徒の質がだいぶ変わってきたなという印象を受けるので、我々指導者も工夫を凝らしていく必要があると思います」
■選手自身が「何が必要か」に気づくことが一番の早道
国士舘に来てからの本田先生は「生徒たちにより高い経験をさせてやりたい」とモチベーションを高めています。同時に「どうすれば全国大会出場へ導けるか」というテーマを真剣に模索し始めました。その一歩として、目標達成への道筋をより明確にさせるところから取り組もうとしています。
「選手たちが全国に出るまでの段取りを探っていく中で『何が必要か』を自ら気づいてくれるのが一番の早道なんです。
人によってはボールコントロール力やドリブル技術、シュートのスキルを磨かなければいけないという人間もいるでしょうし、走力やパワーが足りないと感じる人間もいるでしょう。個人レベルでもチームでもできることは沢山ある。そこに気づいて行動するように、指導者が仕向けていかないといけないと思います。
子どもたちの『全国大会出場』への気持ちは同じでも、重さが100gから1kgになれば取り組み方は全然違ってくる。そうやって情熱をかきたてることが大事なんです。長年、子どもたちを教えてきた私が『全国はそんなに遠い目標じゃないんだ』と言えば『そうかな』と感じる生徒がいるかもしれない。そんな期待を持って、最初に話したように笑顔でグランドに入ることを心掛けたり、言い回しを工夫したりとトライを続けているところです」
■高校サッカー部員の休校中の過ごし方、多かったのは......
現在も連日感染のニュースが流れていますが、本田先生の新たなチャレンジが始まって約2か月が経過した今年2月末。新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化し、安倍晋三首相が全国一斉休校を要請しました。
私立の国士舘も部活動休止に踏み切りました。練習は3月19日にいったん再開され、3月末までは2日に1度ペースで継続できていましたが、東京都から外出自粛要請が出た4月頭から再び活動を停止。