内田篤人さんがドイツのサッカーを「別のスポーツ」と言った理由、日本の指導で技術より意識すべきこととは/U-19日本代表影山監督インタビュー前編
外国人の指導者は日本に来ると必ず言及しますし、過去に日本代表監督を務めた外国人監督も『そこを高めなければいけない』と言っていました。
ぶつかることを否定して、サッカーはもっと綺麗にやるもの。日本は世界で言われているサッカーとは少し異なる育ち方をしてきたのかもしれません。
コミュニケーションもそうです。海外では自分の意見を言います。一歩間違えると日本では生意気に取られてしまうかもしれませんが、意見を言うのは当然で言わないことが罪となる場合もあります。海外でプレーしている日本の選手はそういう環境に身を置いているので意見を言えます。
意見を聞いて、ディスカッションする。
2018年のFIFAワールドカップ・ロシア大会の時も西野朗監督(現・タイ代表監督)が発信しなくても、要求し合うことが日常になっていたと聞きます。
なので、子どもたちに思っていることを言うことは大事だと思いますし、指導者は自然とそれができる環境を整えることが大事だと感じています」
■久保建英や齊藤未月が持つ、自ら発信する力はどうやって身に付いたのか
今まで影山監督が接した選手の中にも自発的に行動する選手がいたそうです。それが久保建英選手や齊藤未月選手です。
「久保建英選手は練習で周りと同じ形でメニューを消化しませんでした。違う発想を持っているので、『それをやらなきゃダメですか?』と聞いてきます。
他の選手がトレーニングの意図や方法を理解していない場合もあるので、『最初は周りと同じようにやって、手本を示してくれ』と言っていました。彼はスペインで過ごしていたので、相手が考えていないことをやろうという思考を持っているのかもしれません。
また、前回のU-20ワールドカップでキャプテンを務めた齊藤未月選手は自分の意見を持っていましたね。
チームに対してもこうしたいというのをハーフタイムや試合前に必ず言っている。子どもたちが自発的に発信できることはそうそうないので、周りにそれを求めていた大人がいたのかなと感じます」
本来持っている本能を呼び起こしながら、いかにサッカー選手として成長して大人になっていくのか。指導者はその手助けをするために子どもたちと向き合っていくべきなのかもしれません。
影山雅永(かげやま・まさなが)
福島県の磐城高校を経て筑波大学に入学。同期の井原正巳氏(現・柏レイソルヘッドコーチ)