強いボールが蹴れなくて相手に取られてばかり、強く蹴る方法をどうやって身につけさせればいい?
決定機を決めて、ピンチを逃れるためには、キック力が必要なのです。
キック力が子どもに必要ないとまでは言いません。しかし、「10歳のころのサッカー」を指導者として、どのように見るか。そこを考えることが重要です。
■ジュニア気に養うべきものはキック力ではない
まず、10歳の子どもが試合をする人数やコートのサイズはどんなものが最適だと思われますか?
日本は、小学1年生から6年生まで8人制のみだと、とらえている方は少なくないようです。さらに、11人制用のフルピッチで試合をさせてしまうこともあります。その大きさのコートでは、強いキック力がなければ、なかなかボールがつながらないなあという印象になりがちです。
その一方で、欧州などでは、4人、5人、7人制で、小さいコートでゲームをさせます。
ドイツでは低学年の子どもを中心にフニーニョという3人制も始めています。年代に合った人数と、コートサイズが相当研究されています。
オランダ、ドイツやスペイン、フランスといったサッカーの強豪国が、少人数、小さいコートで子どもたちにサッカーをさせる現実から、ジュニア期に養うべきものはキック力でないことがわかります。
■強く蹴らないとボールがつながらないという試合環境は小学生に適してない
では、何を養うのか。それは、私がこの連載でよくお伝えしている「認知力」です。
自分で考え、判断する。
周りを見てプレーする。
それらを前提とした育成を指導者が理解する必要があります。
強く蹴らないとボールがつながらない、もしくは守備ができないという試合環境は、小学生には適していないと考えてください。
自分たちの届く長さのパスで簡単にできるところを探す。ショートパスでつないでいく。そこに指導者がフォーカスすれば、強いキックができなくてもサッカーが成立します。
しかも、大きなピッチで無理にロングボールを蹴るサッカーよりもずっと、見て、動くスキルが養われます。そのような考え方、見方をしてほしいと思います。
■身体の成長とともに自然と蹴れるようになる、まずは認知力をつけるのが大事
これは中学生の話ですが、私が指導しているチームは、ロングキックの練習をしません。しかし、3年生になると、みんなロングキックを自然に蹴られるようになります。
体が大きくなったり、筋力がつくといった成長とともに、間違いなく蹴られるようになります。