プレスをかけられると焦ってボールを失う。落ち着いてビルドアップできるようになる練習は?
そのような話をした後で、それらを理解するためのトレーニングをします。例えば、ボールをもってドリブルをすると、守備が寄ってきます。そこでパスを出せば、簡単に2対1になります。
高校生でもそのようなことを考えていないのが現状です。その仕組みは4種で理解しておかなくてはいけません。
■欧州と日本のサッカーの決定的な違い
欧州と日本のサッカーを比較する話になると、欧州に住んでいたり、あちらの事情に詳しい人ほど「行われているサッカーが違う」とおっしゃいます。
私は、その決定的な違いは「前へ進む力」だと考えます。4種年代では、ボールをもらったら、またパスして前に進んでいく。
サイドバックがボランチとワンツーをする。そのサイドバックの選手は、次にワイドアタッカーともワンツーをする。そして結果的にシュートまで持っていく。欧州の少年たちはそんなことをします。
「僕はサイドバックで守備側だから、攻撃には参加しない」
そんなことを、彼らは微塵も思っていません。試合の人数の問題もあると思います。例えばドイツでは、1、2年生は5人制、3、4年制は7人制、5、6年制は9人制というように低学年の間には全員で攻めること、全員が守ることを学ぶのです。
一方の日本は、サイドバックが中盤の選手にパスを出したら、それで終わりになっていないでしょうか。
彼らは後方でいつもほぼ同じ位置にいます。
■コントロールミスがあったからといって対面のパス交換練習に移行しないこと
そうではなく、パスをつないで、前に責め上がるイメージを持たなくてはいけません。どこのポジションの選手でもいいので、前方の選手に一度預けて、自分は前に出て行く。そういった動きをぜひ続けてほしいと思います。
そのようなことを意識してゲームをしてください。ボールコントロール技術の未熟さが出るかもしれません。パスしてもつながらない、止められないね、となるかもしれません。
でも、そこで「じゃあ、ボールを扱う技術をまずは高めよう」とキックの練習に移ってはいけません。
もちろん足元の技術は重要ですが、例えばコントロールミスがあるからと2人1組でパス交換の練習をしても、それは試合では使えない技術です。
試合中に選手が向き合ってパス交換をする場面はありません。ゲームの中で必要な技術を身につけるように考えてください。全員がパスをすることを考えてゲームが進むと全員がボールを触る機会が増えるのです。