たくさん練習することを「頑張っている」と喜ぶ親や指導者がいるけど、正しいの? 練習しすぎの影響を教えて
が注目されるようになりました。
一方で、日本の小学生はオーバートレーニングのリスクにさらされています。小学校に紐づけられた少年団などでは朝練を行っているところもあります。そうなると、例えば放課後にサッカースクールに通う子の場合、寝るのは夜11時過ぎなのに翌日は早起きして学校に行かなくてはなりません。
しかも、朝練はコーチや親から「やりなさい」言われてやっています。自発的な練習ではありません。
■練習を「やればやるほどうまくなる」という根拠はない
夏休みも、チームからの「リフティング〇回できるようになろう」という宿題に取り組まなくてはなりません。
夏休みはもっと自由に他のことができるはずなのに、人としての成長に必要なことができなくなります。
すでに申し上げたように、サッカーでも学べるけれど、他のことに集中することも大事です。
そういったことがよくわかる本に『アスレチックスキルモデル才能を適切に発揮させる運動教育』(レネ・ウォンホートほか/金子書房)があります。良かったら手にとってみてください。
たくさん練習をすれば上達する、やればやるほどうまくなると皆さん思われていますが、まったく根拠がないことがよくわかるでしょう。
■運動しすぎるリスクは身体だけでなく精神面にも。楽しむはずのスポーツに「抑圧」されている
運動をし過ぎるリスクは明白です。ジュニア期でオーバートレーニングになると、サッカーであればかかと、足の甲、足首、膝、腰と、下半身を中心にスポーツ障害のリスクが高まります。
休まず長時間練習すると、睡眠が足らなくなります。
そうすると身長が伸びません。
100%、良いことはありません。加えて、精神的にもバーンアウトする恐れがあります。
それなのに、大人も子どもも「練習しないと不安だ」という気持ちになっています。楽しくて、子どもの生活を豊かにするはずのスポーツによって、抑圧されています。このことは「毎日真面目に練習しなさい」と子どもに言ってしまう日本人の教育観も関係しています。練習するのは、チームの中で一番になるためです。大人がチームの中で競い合わせています。
なぜなら学校の教育が同じ様式だからです。
「クラスで一番になりなさい」と言われて育ちます。言われなかったとしても、そのような競争の価値観は刷り込まれています。
どんなことにおいても競争、競争なので、運動会で全員手をつないでゴールしようといったことをしても、根本的な策にはなりませんでした。