女子サッカーの指導で気をつけることとは? 長年女子の育成に関わるスフィーダ世田谷GM・川邊健一さんに聞いた女子選手の指導法
先日開催された女子のワールドカップ。なでしこジャパンはグループステージでスペインに4-0で勝利を挙げるなどして首位突破。準々決勝で惜しくも敗退しましたが、大いに日本を盛り上げてくれました。
2011年になでしこジャパンがワールドカップで優勝して以降、日本で女子サッカーがメジャーになり、2021年には日本初の女子プロサッカーリーグ『WEリーグ』がスタートしました。
サッカーをする女の子は増えており、指導者や保護者など、女子のサッカーに関わる人は、男子と女子の違いを理解するのも大切なこと。
そこで今回は、2022プレナスなでしこリーグ1部で優勝した『スフィーダ世田谷FC』の代表を務め、20年以上女子サッカーに関わる川邊健一さんに「女子を指導する上で、気をつけていること」についてうかがいました。
(取材・文鈴木智之写真提供:スフィーダ世田谷)
スフィーダ世田谷FCの選手たち写真提供:スフィーダ世田谷
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■女子の方が成長スピードが早い
近年、女子サッカーの裾野が広がったことで、男子を指導してきた指導者が、女子の監督やコーチに転身するケースが見られます。そこで川邊さんに「女子と男子の違い」を聞くと、次のような答えが返ってきました。
「根本的に違うのは、体の作りです。女子の場合、早い子であれば12歳ごろに身長の伸びがストップし、多くの子は中学の3年間で成長が完了します。極端な話、トップチームの大人の選手と、足の速い中学生がかけっこしたときに、中学生の方が速いケースもあります。男の子であれば、中学生がトップチームの選手に走って勝つことはほぼありませんが、女子は成長が完了する時期が早いので、そのようなことが起こるのです」
2021年の皇后杯で、中高生を主体とする日テレ・東京ヴェルディメニーナが、INAC神戸に勝ちましたが、そのような番狂わせが起きるのも、女子ならではと言えます。
「女子の場合、中学生で成長が完了すると、能力的に大人とほとんど変わりません。YO-YOテストやスプリント能力を比較しても、トップチームの選手より良い数値を出す中高生はたくさんいます」
■フィジカルで優位性を出せなくても技術と判断スピードで相手を上回ることができる
年齢が上であっても、フィジカルで優位性を出すことができないとなると、どこで相手を上回れば良いのでしょうか?スフィーダでは「技術の精度と判断のスピードに力を入れている」