上野千鶴子「人生で初めて女遊び (笑) に夢中に」 女性学に目覚めたきっかけ
人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今月は社会学者の上野千鶴子さんです。フェミニストとして知られる上野さんですが、実は若い頃は女性が苦手だったとか。ではなぜ〈女性学〉の道に?無気力だった20代半ばの、ある出来事がきっかけでした。第2回目をお届けします。
女性と遊ぶのに目覚めたのは25歳。遅咲きでした。
もともと私は女が苦手で、自分の“女性性”ともおりあいがつかず、長く同性を避けて生きていました。
そんな私が変わったきっかけが、25歳で友人に引きずられ出かけた、当時京都にできたばかりの「日本女性学研究会」の集い。主婦、教員、公務員、会社員、短大卒、高卒など多様な女性が、各々抱えるモヤモヤについて思いの丈を語る会でした。そこで私は、今までどんなに親しい男でも理解してくれなかった私のモヤモヤに、初対面の女性が共感してくれるという経験をしました。男ばかりの中で生きてきた私にとって、彼女たちの優しさやチャーミングさは、驚愕。そこから人生で初めて女遊び(笑)に夢中になり、〈女性学〉に没頭。とはいえ女性学の論文が学会誌に載るとも、ましてや職につながるとも思えない。女性学は趣味にし就職するか…と思ったのですが、当時大学院卒の女の就職口は、ほぼゼロ。