“遊ぶと死ぬ”呪いのゲームとは…ゲームの本質にも迫る、ホラー×ミステリー小説
「ゲームをテーマに書くなら、単に、主人公たちがゲームを遊ぶとかゲームの中に入り込む話ではなく、“ゲームとは何か”を分析的に解き明かす話にしようと思っていました。そのときには、ちょっとアドベンチャー的な要素も入れて、主人公たちががんばって新しい道を開いていくみたいな感じを出したいなというのもありました」
実は晴には、心にのしかかっている出来事がある。中学時代の友人・雪広(ゆきひろ)が死ぬ前に会ったのが自分だったからだ。ゲームに疎かった晴を誘い、その楽しさを教え、〈人生なんて、しょせんはゲームだ〉とうそぶいていた雪広。彼の死の真相が呪いのゲーム探しのパラレルなストーリーとして走り、読者を揺さぶる。
「晴がゲームを追いかける理由が必要だなと考えていて、雪広という存在が出てきました。ふたりの関わりを見ても、現実社会でのゲームの盛り上がりを見ても、ゲームって人と人とをつなぐものというか、人の間にあって初めて意味が出るものなのだなとあらためて感じましたね」
晴だけではなく、莉久も葉月も癒えない傷を抱えている。少しずつ変わる彼らを見届けてほしい。
『きみはサイコロを振らない』ゲームは現代のものと思われがちだが実は神話にも通じる世界。