尾上右近「結局、歌舞伎がすごいんだって結論になる」 古典歌舞伎の面白さを熱弁
「六代目菊五郎の話ですが、かつては数百人の劇場でやっていたものが1000を超えるキャパに変わってきたとき、それまでの蛍を目で追う振りが後ろの観客には伝わらなくなったそう。どうしたらいいかを考えていたときに、目の不自由な人が、目の代わりに指先で見ると話していたのがヒントになって、蛍を指で追う振りを思いついたんだとか。そうやって時代を超えるために変わるものもあれば、変わってはいけないと意地になっている部分もあって、今の古典歌舞伎があるんですよね」
その時代時代に歌舞伎役者がいて、彼らの肉体や精神を通して伝承してきたところに価値がある。
「松本白鸚のお兄さんのところに教わりに伺ったとき、お兄さんが僕くらいの頃、年上の先輩に芸を教わりに行かれた思い出話をたくさんしてくださったんですよね。そのとき十七代目中村勘三郎さんの芸がいかにすごかったか話しながら当時を思い出して感動して泣かれるんです。僕はそのお兄さんの姿に感動でした。十七代目の芸を間近で見た感動を伝承する。これこそが継承で、その感動もひっくるめて古典になっていくんだなと思いました」
歌舞伎1603年頃に京都・鴨川の四条河原で、出雲の阿国が始めたかぶき踊りが始まり。