岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「辞書で呑む」です。テレビ東京系で放送された『川島明の辞書で呑む』に出演させていただきました。タイトルにある通り、三省堂国語辞典と新明解国語辞典を引きながら、見慣れないワードを探して言葉をつまみに語り合うトークバラエティです。今回のシリーズでは「あ」行を1回1音ずつ取り上げていますが、僕は「い」以降の「あ」行すべての音で出演させていただき、気になる言葉の即興ソングを披露するなど出どころも作ってもらい、メインの川島さんをのぞくと番組出演回数は最多。これは、僕はこの番組の“員数(いんずう)”だなと感じています。決まった定員数を指す“員数”という言葉も、この番組で初めて知った言葉です。知らない言葉についておしゃべりしながら、お酒も本当にいただいています。なので台本通りにいかないライブ感も満載。川島さんの巧みな仕切りの中、カンペも見ているようで見ていないことも多々。突然エピソードトークを振られたり、ラップバトルが始まったりと予測不能な面白さがあるので、みなさんにもお酒片手に楽しく見てもらいたいです。別テーブルには辞書の専門家の先生方もおられて、言葉の意味を教えていただいたり、足りない部分を補足いただいたり、学ぶ部分も多いアカデミックな番組でもあります。共演者も面白い方たちばかりです。(マキシマム ザ)ホルモンの亮君やヤバイTシャツ屋さんのこやまなど旧知のミュージシャン仲間が一緒のこともあるし、エルフの荒川さんなんかはギャル視点で辞書を斬っていて、とても面白かった。そもそも川島さんは地元の大先輩!川島さんがめっちゃ楽しんでやっている番組に呼んでいただいているだけでとてもうれしいです。7月19日にはスタジオを飛び出し、観客を入れてのライブも開催。生配信と8月にはTVでもオンエアがあるそうなので、ぜひ見てください。今、言葉を調べる場合、インターネットや電子辞書でパパッと調べてしまうと思います。紙の辞書を引くというのはなかなかないことでは…。この機会にぜひ辞書に改めて触れてみてほしいです。子どもの頃はランドセルに入れて持っていくのが重くて重くて嫌だなと思っていた辞書が、こんな大人の嗜み感ある遊びのきっかけになるなんて。辞書に対する“お手の筋”も、みなさんきっと変わると思いますよ。おかざき・たいいく7/24(水)「宇治フェス ~DREAM & FUTURE~」(宇治市文化センター)に出演。秋には、ホールワンマンTOUR「盆テク博覧会」を全国5か所で開催。※『anan』2024年7月24日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年07月22日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「カスタマーハラスメント」です。行きすぎた行為。従業員を守るため法整備を準備中。カスタマーハラスメント(カスハラ)が社会問題化しています。厚生労働省は従業員を守る対策を企業に義務付けることを検討。労働施策総合推進法にカスハラ防止策を盛り込む準備が進められています。厚労省は、さまざまなハラスメント対策情報を載せた「あかるい職場応援団」というサイトを運営しており、その中でカスハラについては、顧客などからのクレームや言動のうち、要求の内容の妥当性に照らして、要求実現の手段や態度が「社会通念上不相当なもの」「労働者の就業環境が害されるもの」と明記しました。働くことを妨げるほどのクレーム行動はカスハラと定めるという、度合いを言語化し、共通認識を持てるようになったことは大いに意義があると思います。カスハラの対策企業事例集の中のヤマト運輸のケースによると、コールセンターでアンケートを行ったところ、オペレーターの約8割がカスハラに遭っていたらしいことが判明。暴言や威嚇、脅迫を受けたり、長時間拘束されたり、個人情報を執拗に聞き出そうとする被害が起きていたそうです。カスハラの第1の問題は、業務のパフォーマンスの低下ですが、2つ目に大きな問題は、労働者の健康不良と現場対応に恐怖を抱いてしまうことです。顧客から繰り返し否定的なことを言われ続けて自尊心を傷つけられ、真面目に顧客対応をしていた方が「自分は会社に迷惑をかけてしまっている」と心を病み、仕事を離れざるを得なくなるケースが少なからず発生しています。ヤマト運輸のコールセンターでは、カスハラ対策として、「脅されているようで怖いです」など、一次対応者が自分を主にした気持ちを伝えて相手に冷静になってもらい、それでも改善されない場合は、電話を代わった管理者が、「あなたの行為はカスハラです」と第三者の視点で伝える2段階案内を導入しました。対応者が仕事を離れなければいけなくなるほどのクレームというのは、想像力を欠いた行為です。自分で業を起こす人が増えれば、顧客対応者の思いに気づくことができ、カスハラ軽減につながっていくのかもしれません。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2024年7月24日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2024年07月22日超特急のカイとリョウガが、小笠原海と船津稜雅として行うトークライブ「稜海しました!」。これまで東京・大阪・名古屋・富山で開催され、チケット入手困難だった同企画が1クールのレギュラー番組としてスペースシャワーTVで放送されることが決定した。歌もダンスもナシ、二人のトークのみで構成されるというストロングスタイルはそのままに、彼らが彼らしく、彼らのままの平熱で送る15分番組。初回放送では、この企画恒例となりつつあるオープニング映像が世界初公開。スペースシャワーTVのオフィスを舞台に、視聴者にはお馴染みとなったあの「玉」にまつわる撮り下ろしの映像は、スタッフのこだわりが詰め込まれたものとなっており、こちらにも注目だ。今後は、視聴者からのお便りをもとにしたコーナーなど、トークライブを踏襲しつつも、スペシャならではの展開も予定している。二人のゆるくてくだらない、だけど愛おしいトーク番組が展開される。さらに、スペースシャワーTVでは8月8日の「8号車の日」を記念して、4月にオンエアした特別番組「Just like 超特急の希望の玉!」のアンコール放送が決定。【番組情報】『稜海しました!inスペシャ』▼放送日程・♯1:8月5日(月)24:00~24:15・♯2:8月19日(月)24:00~24:15出演:小笠原海・船津稜雅【関連番組情報】『Just like 超特急の希望の玉!』▼放送日程・前編:8月1日(木)23:30~24:00・後編:8月6日(火)23:30~24:00
2024年07月22日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「大相撲」です。大相撲が好きです。Netflixのドラマ『サンクチュアリ‐聖域‐』が話題となり、若い人たちの間でも大相撲が再び注目を集めているように感じます。僕はそれ以前からの大相撲ファン。祖父母と一緒に暮らしていたこともあり、子どもの頃からNHKで大相撲中継を観た後、ごはんを食べるというのが日課となっていました。なので長年、毎場所欠かさず大相撲を観戦していました。僕が観るようになってからだけでも、若貴ブームがあり、千代大海や武双山の活躍、朝青龍の独走からの白鵬の一強時代を経て、稀勢の里が横綱になる…。そんな相撲界の流れを平成の時代から追い続けています。より相撲好きになったきっかけは漫画『バチバチ』を読んだこと。佐藤タカヒロさんが描かれた相撲漫画でとても面白い。名大関といわれた父親が暴力事件を起こし、角界を追放され家族もバラバラに…。それが理由で相撲を憎んでいた主人公・鮫島鯉太郎が角界に入り、横綱を目指していく。スポーツアクションものかと思いきや、部屋のシステムや昇進のシステムなどテレビで見ているだけではわからない相撲界の常識やしきたりについてかなり詳しく描いてあるので、それを知るのも楽しいです。取材には日本相撲協会も協力をしているそうでかなり本格的。さらにもう一つ、僕を虜にしているのが昨年スタートしたYouTubeの「二子山部屋 sumo food」チャンネル。元大関・雅山が現在親方を務める二子山部屋。雅山関は関取の頃からメディアに積極的に出て相撲人気を世に広めようと努力を続けてきた方。YouTubeというメディアもとても上手に活用し、すでに登録者数は30万人を超えています。相撲部屋のモーニングルーティンを公開したり、力士たちの休日の過ごし方を紹介したり、その中でもみんなが大好きなのは、やっぱり力士飯。当たり前ですがみんなめちゃくちゃ食べまくる!それを眺めているだけでも痛快です。朝ちゃんこから夜ちゃんこまで、ちゃんこ番が料理をするのですが、誰が担当するかによってレシピが毎回違うのも面白い。三段目の出沼が作る唐揚げがめっちゃうまそうで釘付けになります。豪快に8kgもの唐揚げを作って、それを食べまくる力士たちの動画は再生回数もすごいのですが、体力が低下し、食欲も減退してくる夏の時期に見ると、絶対に元気をもらえると思うのでかなりおすすめです!おかざき・たいいく7/24(水)「宇治フェス ~DREAM & FUTURE~」(宇治市文化センター)に出演。秋には、ホールワンマンTOUR「盆テク博覧会」を全国5か所で開催。※『anan』2024年7月17日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年07月14日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「アクリルスタンド」です。いつからこんなに流行りだしたのでしょうか。気づけばすっかりグッズやファンアイテムとして市民権を獲得しているアクリルスタンド、略して「アクスタ」。きっかけは何なのか。たぶん、アニメ界隈ですよね。二次元のものをスタンドで立体化させ、三次元の世界にも置くことができる。そこからアイドルさんたちもグッズとして作るようになり、今やさまざまなジャンルでアクスタが登場しています。もちろん岡崎体育のアクスタもあります。もうけっこうリリースしていて、3シリーズ18種類ほどあったと記憶しています。お腹が痛いポーズとか、仕事の合間にちゃちゃっと撮影したものをアクスタにしています。これがけっこう好評でご購入いただいています。みなさん、コレクションしてくださっているみたいです。今やアクスタ用の収納ファイルなどもあるようですが、僕的にはアクスタは、できるだけ立たせてあげてほしい。ぜひテレビボードの上とかに立てて、並べて楽しんでほしいなあと思います。だって「スタンド」ですから。台座を活かしてこそです。だから、いっそのことライブステージを表現できるアクスタがあるといいですね。バンドならメンバー全員はもちろん、それぞれが使っている機材やアンプのアクスタもあって、コンプリートするとステージセットを再現できる…なんていうのがあったら僕も欲しい。クイーンとかで出してくれたら、大人買いしてしまいそうです。…って、このアイデアいいですね。僕も次のツアーでやろうかな?でも、僕はステージ上のアイテムが少なすぎるので(僕とパソコンくらいです)、もう少し視野を広げたいと思います。袖で見守るマネージャーの松下、PA卓にいる徳重さんやソニーの井上さん、光永ボーイ、照明の福本さん、舞台監督の高尾さん…。そういったスタッフのアクスタも用意したいと思います。舞台上の岡崎体育とそれを支えるスタッフたちのアクスタ。全部揃えれば、岡崎体育のライブ会場を完全再現できるセットです。次の秋のツアーでそんな「裏方アクスタ」を発売できたらいいですね。今、決めました!これはもしかしたらファンのみなさんからは、すごい不評になるかもしれません。いや、不評であってほしい。だって後日、僕のアクスタより松下のアクスタがレアで交換希望になったりしたらちょっとショックじゃないですか…。おかざきたいいく7/24(水)「宇治フェス ~DREAM & FUTURE~」(宇治市文化センター)に出演。秋には、ホールワンマンTOUR「盆テク博覧会」を全国5か所で開催。※『anan』2024年7月10日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年07月07日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「米大学生、反イスラエルデモ」です。アメリカの大学生が声を上げた。世界に広がる人権意識。昨年10月にイスラム組織ハマスがイスラエルを襲撃。これに報復する形でイスラエルが猛攻撃を始め、いまだに解決の目処は立っていません。イスラエル軍の攻撃による死者は4月末時点で3万5000人を超え、そのうち1万人以上が女性と国連は発表しました。昨年からアメリカの大学では、コロンビア大をはじめ、エリート校を中心に反イスラエル、パレスチナ解放を訴える抗議デモや座り込み、テントを張ったプロテストキャンプなどが広がりました。学生らは停戦とともに、イスラエルでビジネスをする企業やイスラエルと取引をしていることは、戦争加担と同じだと、イスラエルの企業に投資している大学に対して、それらの企業から手を引くように要求しています。4月30日には、ニューヨーク市警察がコロンビア大学に突入し、100人以上の学生らを逮捕。抗議活動を行う大学は100以上に及び、5月20日時点で、3000人以上が逮捕されたとAP通信は発表しました。ハーバード大学では、反イスラエルデモに対する大学の対応に抗議し、数百人の学生が卒業式を途中退席する場面も。大学生の抗議運動はその後欧州にも広がりました。日本では5月に東京大学や早稲田大学、青山学院大学などの学生が、ガザの戦争に対して抗議運動を決行。SNSにより、世界の学生たちが連帯しやすくなりました。抗議運動は暴力的なものではなく、アートや音楽を使った平和的なものが多くあります。アクティビストとアートを掛け合わせた「アーティビスト」を名乗る人も増えました。日本人でその代表例は坂本龍一さんでしょう。賛成/反対の単純な表明ではなく、問題を広く知ってもらい、考えてもらうことを目的にしています。一般市民が殺されていることに対してNOを唱える、普遍的な人権の価値に対して連帯が広がったのは良いことだと思います。大学生の抗議運動自体は今は下火になっています。ただ、アメリカは秋に大統領選挙を控えています。人権重視の民主党でありながら、イスラエルに対し10億ドル相当の武器を売却しているバイデン政権に、不信感を募らせている学生は少なくありません。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2024年7月10日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2024年07月06日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「35歳」です。来週の7月3日は僕、岡崎体育の誕生日。35歳になります。小学生のころ、放課後に同級生たちとコックリさんをしました。その時、「僕は何歳まで生きられますか?」と聞いたら、五円玉が「4」の数字に2回動いた。つまり「44歳」。けっこう若くして死ぬのかとその時ショックを受けたのですが、35歳となった今、まったくその予兆は感じません。健康状態はいいです。まだまだ生きられそうです。生きたいです。がんばります。35歳といえば、アラフォーの仲間入り。いよいよ数字的にはミドルエイジだなという感じがします。デビューが26歳と遅かったこともあり、月日が経つのは早いとは思いますが、年相応の大人になったなという感覚は自分の中にはあまりありません。たまに地元の同級生たちとも会いますが、彼らとも一緒にオンラインゲームをしたりだとか学生時代と変わらない付き合い方をしているので、年齢のことを考えることはありません。それよりも、仕事で偶然出会った方が同い年だったりするほうが「めっちゃ大人!」と感じることが多い。読売テレビで僕がレギュラー出演している子ども向け番組『こどもちょうせんバラエティ いろりろ』のプロデューサーさんは、同い年なのですがめっちゃしっかりしていて、これぞ社会人という感じがします。同い年なのに、話す時はつい敬語になります。でも、テレビ局のプロデューサーと違って僕はミュージシャンですし、そういう社会的なしっかり感はそんなに重要視されてない(?)と感じるところもあります。事務仕事だとか役所でする手続きとかそういう類いの処理能力の高さなどでなく、どちらかといえば、求められているのは年相応さより若々しさです。10代のころと変わらぬ感性や瑞々しさをいかに持ち続けられるか、ということが大事。甘酸っぱい片思いラブソングを35歳になった今も書けるかどうか。そういうところが腕の見せどころなので、多少、年相応さがなくても仕方ないのでは、とも思います。ミュージシャンなんて、みんな中学生のようなマインドの集まりです。怒られて首が飛んでもかまわないと思っているような破天荒な人たちの集まりです(勝手な偏見です)。でも、そう考えてみると僕はレコード会社の売り上げ成績も常に気にしていますし、ミュージシャンの中では年相応の方なのかもしれません。おかざきたいいく7/24(水)「宇治フェス~DREAM & FUTURE~」(宇治市文化センター)に出演。秋には、ホールワンマンTOUR「盆テク博覧会」を全国5か所で開催。※『anan』2024年7月3日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年06月29日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「悩み相談」です。前回話した、慕ってくれる後輩がいないというテーマにも通じることですが、僕は悩み相談を受けるのがあまり得意ではありません。頼れる先輩というのは、後輩の悩みに対して心にズバッと刺さるような回答をしてくれるもの。ところが僕はその「ちょうど欲しかった回答」をするのがどうも苦手です。この点でも頼れる先輩になるのはまだまだ遠いのではと思います。地元でやっているラジオ番組『Okazaki Radio Channel』でもお悩み相談を受けていますが、ここでもいまひとつリスナーの反応がよくないんです。受験の悩みや勉強方法など自分も通ってきた道であれば経験則で回答を出すことができますが、たとえば「夫が家事を手伝ってくれない。彼を動かす方法はありますか?」など経験のないジャンルがくると、「強めの電流を与えてみる!」とか、ちょっと大喜利めいた答えしか出せなくなってしまいます。回答がエンターテインメントに寄ってしまうんです。でも、相談者はそういうおもしろ回答ではなくて、親身になって寄り添う回答が欲しいはず…。以前、ラジオのゲストに阿部真央さんが来てくれたのですが、彼女は見事だった。まずは相談者の心情がわかるっていう共感から入り、自分の体験も交えながら温かく優しくポジティブな方向に導いていて、「これや!」と思いました。僕は「彼氏の推しメンに嫉妬しないようになりたい」というお悩みには「出家したら」と即答してしまうし、「ナスが嫌いな息子、どうしたらいい?」には「何を食べるのかはその子の自由。他の食材で栄養を補えていると思うので無理に食べなくていい」と突き放してしまう。こんな極論は誰も求めてないとわかっているんです。知りたいのは、ナスがナスとわからないで、うまいこと食べさせられる調理法とかのはず。ただ、全ての悩みって諦めることが肝心だと思うんです。どうしたら諦められるか、その気持ちが僕の回答のベースにあります。諦念や悟りの境地を知る。それが全ての悩み、煩悩から解き放ってくれるはず。みんな一度、手塚治虫の『ブッダ』を読んでほしい。あそこに全ての答えがある。「ヴィレヴァン行って文庫でいいから『ブッダ』全巻買って読め」。次から全ての悩みにそう答えたいと思います。おかざきたいいく7/24(水)「宇治フェス~DREAM & FUTURE~」(宇治市文化センター)に出演。秋には、ホールワンマンTOUR「盆テク博覧会」を全国5か所で開催。※『anan』2024年6月26日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年06月23日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「戦争の記憶」です。戦争は終わった過去ではない。現在に目を向けて。6月23日は沖縄慰霊の日です。太平洋戦争の末期、沖縄では日本国内で唯一、地上戦が繰り広げられ、日米で約20万人が命を落としました。そのうちの9万4000人は子供たちを含む一般市民でした。二度と悲劇を繰り返さないために、沖縄県では沖縄戦の実質的な終結日に当たる6月23日を、平和を祈る日として「慰霊の日」に制定しました。毎年この日には戦没者の追悼式が行われ、戦争の記憶をなくさないために、当時を知る人のコメントが多く報道されます。しかし、報道の現場で実感するのは、過去の戦争を伝えることに集中するあまり、肝心の平和実現に向けた対話や歩みを止めてしまっているのではないか、ということです。沖縄には米軍基地があります。そして、現在世界では、ウクライナやガザをはじめ各地で戦争が起きています。普段、なかなか報道されることはありませんが、沖縄の米軍基地からは、多くの戦闘機や艦艇が出航し、戦地に武器が投入されています。国際連合は第二次世界大戦の戦勝国によって作られました。しかし、各国の綱引きにより現在は機能不全に陥っています。今起きている対立は、大もとを辿れば、第一次世界大戦や第二次世界大戦時に欧米諸国によってとられた植民地政策により、領土を奪われたことが大きく関係しています。沖縄はもとより、世界全体を俯瞰すると、戦争は終わっているように見えて、形を変えて続いているのです。日本の安全保障政策はこの2年間で激変しました。一昨年、岸田内閣と国家安全保障会議は、敵基地攻撃能力や反撃能力を保有する新たな安保関連3文書を改定し、自民党と公明党は、殺傷兵器の輸出の解禁に合意しました。また、ODA(政府開発援助)とは別に「政府安全保障能力強化支援(OSA)」として、各国からの安全保障上の要望に応え、資機材の供与や、インフラの整備ができるようになりました。「日本は戦争とは無縁の平和な国」とは言い切れません。今起きている戦争について知り、根底にある問題に目を向け、平和のために模索することが、戦争の犠牲になった方々の本当の慰霊になるのではないでしょうか。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2024年6月26日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2024年06月20日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「先輩後輩」です。みなさん、学校や職場に先輩や後輩がいると思いますが、上の人と下の人、どちらと一緒にいる方が好きですか?僕は、ミュージシャンの先輩方に気に入っていただけることは多少あるのですが、後輩からの支持があまりないことで有名です。慕ってくれる後輩というのがなかなかいない。いや、まったくいないと言っていいです。ハンブレッダーズのベース、でらしくんなんかは「体育さん、体育さん」と慕ってくれますが、彼は“後輩”するのがとにかく上手なタイプ。年上の方の誰に対しても分け隔てなく、懐に入る才能に秀でているんです。後輩上手な、でらしくんみたいなタイプじゃないと、僕は先輩らしくふるまう機会がないんです。なぜ、ここまで後輩に人気がないのか?マネージャーの松下にガチで相談するくらいに悩んではいます。そんな僕への松下からの回答は「体育さんは、話しかけるなオーラが常に出ているから」とのことでした。僕自身はそんなつもりはないのですが、まったく同じことを夜の本気ダンスの鈴鹿(秋斗)くんにも言われたことがあるので、もしかしたらそう見えてしまっているのかもしれません。話しかけてほしくないわけではなく、単純に僕が出無精で、フェスなどに参加しても積極的に他の出演者の方々とコミュニケーションをとろうとしないのが原因なのでしょう。フェスでは大抵の場合、楽屋がミュージシャンたちそれぞれにあり、お互いに交流をするのはごはんを食べるところなど楽屋外のエリアになります。夏だと外は暑いし、汗をかきたくないので、僕はできるだけクーラーの効いた楽屋にいたい。それゆえに、挨拶もそこそこで楽屋に引きこもってしまう。それが後輩たちからしたら「話しかけにくい」原因になっているのではと思いました。後輩は欲しい、でも涼しい楽屋から出たくない。このジレンマはいつまでも解消できなさそうです…。引きこもりがちな先輩と仲良くしてくれるちょうどいい距離感の後輩ミュージシャンはいないものでしょうか?こってりとしたラーメンのような濃すぎる人間関係はちょっと苦手、軽くざるそば食べるくらいの関係で先輩後輩を感じたい若手ミュージシャンの方、いるならぜひ岡崎体育に声をかけてほしい。小腹を満たすくらいの、ちょうどいい先輩感はお出しできると思います。お待ちしてます!おかざきたいいく7/24(水)「宇治フェス ~DREAM & FUTURE~」(宇治市文化センター)に出演。秋には、ホールワンマンTOUR「盆テク博覧会」を全国5か所で開催。※『anan』2024年6月19号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年06月14日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ラストライブ」です。チケットの券売状況をXでポストし続けた「岡崎体育 Zepp Tour 2024」も、先日ツアーファイナルの東京公演が無事終わりました。ご来場くださったみなさま、本当にありがとうございました!また、次のステージを目指して岡崎体育は走り続けます。一体、いつまで走り続けられるのでしょうか?ラストライブはどんな感じになるのか。バンドだったら、解散を決めたらその解散の日のライブがラストライブになるのではと思います。でも、ソロアーティストには解散という概念がないので、これをラストライブとするタイミングがなかなか難しい。それに僕はラストライブと銘打つこと自体もやらないと思います。「最後だから、観に来てください」というのもなんだか歯がゆい。僕は、もし最後のライブの日がわかっていたとしても、いつも通りのライブをして、いつも通りに振る舞いたいです。プロ野球の選手も引退試合をされることがありますが、最後の打席に立ったとき引退する選手が打った球が平凡なフライ(内野と外野の間に飛ぶようなやつ)になりかけるも、野手があえて捕らずにヒットにしてあげて花道を飾ることがある。ひとつの演出としてそれはそれでいいのかもしれないけれど、もし僕が引退する選手だったら、いつも通りの普通で平凡なフライで終わりたいです。ど真ん中のストレートを空振り三振で終わるならそれまで。周りに気を使われることなく、普通のまま終わるのが今の理想ですね。また、スポーツ選手ほど「ここが限界」と数値化できるものがミュージシャンにはないですよね。戦力外とされるわかりやすい数字を突きつけられることがないので、自分がやり続けたいと思えば、健康であればずっとできる。僕がやめる理由になるとしたら、チケット代でしょうか。パフォーマンスがいただくチケット代に見合っているかどうか。そこが見合ってないと自分で感じたら活動をやめるかもしれません。とはいえ、できることなら80歳になっても80歳らしいライブができたら最高です。一昨年ライブ活動から引退された加山雄三さんは85歳までステージに立っていた。沢田研二さんは75歳の現在も全国ツアーを続けていらっしゃる。そんな先輩方の活動を見ていると、ラストライブを語るにはまだまだ若すぎるなと思います。この仕事が好きなのでチケット代を払って来てくださるお客様がいる限り、一生現役の気持ちでがんばりたいです。おかざきたいいく配信中のEP『Suplex』(SMEレコーズ)より、「宇宙と長野」Music Videoが公開に。7/24(水)「宇治フェス ~DREAM & FUTURE~」(宇治市文化センター)に出演。※『anan』2024年6月12日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年06月09日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「アンバサダー」です。アンバサダーとは企業や自治体などから商品や観光地などの宣伝役を任命されることだと理解しています。僕は宇治市の観光大使をさせていただいています。なので、僕は宇治のアンバサダーとして、宇治の良さや観光名所を広めて、他府県から遊びに来てもらうきっかけを作ることが役割だと思っています。宇治に人を集めることが目的なので宇治でライブも開催します。今年は、7月24日に「宇治フェス~DREAM&FUTURE~」を開催します。出演するのは、宇治観光大使を一緒にしている〈宇治会〉のメンバー。宇治出身のミュージシャンで構成されています。ヤバイTシャツ屋さんのこやま(たくや)、THE冠の冠徹弥、花団の塚原一繁そして、岡崎体育です。この3バンド+1ソロミュージシャンが出演する宇治フェスを宇治市文化センターで開催します。それぞれのアーティストのファンの方だけでなく、宇治に興味をお持ちの方にはぜひ足を運んでいただきたいです。ほかにもご依頼をいただければ、なんでも宇治市に貢献したい。宇治市で成人式があれば、新成人に向けたビデオコメントなどにも積極的に参加させていただいております。もうひとつ、僕は阪神タイガースに関しても、宇治市と同じくらいアンバサダー活動をさせていただいていると自負しています。球場で流れる「みんなで六甲おろし」には5年連続で出演させていただいていますし、お願いこそされていませんがSNSなどで応援活動を勝手に推進し、非公式アンバサダーとして意識高く過ごしています。阪神タイガースもそうですが、やはり好きなことってアンバサダーになりやすいんだと思います。蕎麦打ちとかけん玉みたいな、好きで極めたことが評価されてアンバサダーになる、というのが理想の道筋のような気がします。僕にとってそういう詳しく語れるものが何かあるかなと思いましたが、ゲーム以外になさそうです。……うーん、あとは、最近スーパーマーケットに毎日通っているので、それなら語ることができそうです。スーパーのアンバサダーっているのでしょうか?でも、僕は以前スーパーで働いていましたので裏の内部事情も少しは知っていますし、お客さん目線でこういうところが好きと言うこともできる。全国のスーパーマーケットの社長さん、岡崎体育をアンバサダーに起用してみませんか?おかざきたいいく自身初となるEP『Suplex』(SME レコーズ)配信中。開催中の『岡崎体育Zepp Tour 2024』も、いよいよ6/2東京(ダイバーシティ)でファイナル!※『anan』2024年6月5日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年06月02日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「韓国総選挙」です。暮らしや将来に直撃する政策。若者たちが注視。4月に行われた韓国総選挙は、最大野党の「共に民主党」が勝利しました。尹(ユン)政権にとっては、国会でねじれが生じることになります。投票率は67%、前回の66.2%を上回り、若者も多くが投票しました。背景には、将来に対する不安があります。実は、韓国は日本以上に少子化が加速。世界の少子化ランキングでは、これまで日本が先頭を切っていましたが、今後30年間で韓国と台湾が世界一の少子化大国になるといわれています。韓国の統計庁によると、韓国の人口は、2022年から2072年までの50年間で5167万人から3622万人へと、約30%減少すると予測されています。韓国の出生率は昨年の時点で0.72。このままでは国がなくなってしまうという危機感の中、さまざまな場面でダウンサイジングしなければならず、早急に対策が必要になっているのです。尹政権は大量に移民を受け入れる方針を打ち出し、移民優遇措置をとっていますが、韓国の若者たちは、「もっと私たちへの支援はないのか」と、自分たちの暮らしの維持、そして自分たちの国の死活問題として、政策に注目し、積極的に投票しているんですね。韓国は都市部と地域の格差が問題になっています。国土のわずか11.8%にすぎないソウル首都圏に人口の約半分の2604万人が集中。2020年時点で、19~34歳の若年成人の53.8%が首都圏に住み、5年間で1.5ポイント増えています。進学や仕事を求めて首都圏に住まざるを得ない結果、首都圏の不動産価格は高騰。エリートとそうではない人の格差が拡大し、貧しさを実感する人々は経済的不安から結婚に踏み切れない。非婚や晩婚が増え、少子化が加速しています。尹政権は昨年11月に、地域が発展し競争力を持てば、それが国の発展と競争力になると宣言し、地域活性に向けた税制改正や定住促進を大胆に進め、鉄道開発にも力を入れています。今回の選挙結果は、それらの政策効果に対し不信感があることがわかりました。少子化、人口減少、都市と地域の格差など、日本も同様の問題を抱えています。共に解決策を模索することが、大きな力になるのかもしれません。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2024年6月5日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2024年06月01日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「楽屋にあるとうれしいもの」です。全国には多くのライブハウスがあります。ライブハウスの数だけ楽屋の数もある。今日は楽屋にあるとうれしいものをお伝えしたいと思います。まずなによりソファがあるといい。欲しいものがいきなり大物ですみません。僕はリハがちゃちゃっと終わります。一人だし、楽器もないし、小道具もないし、ダンサーもいない。マイクの確認と照明の確認ができればすぐに終わってしまいます。リハが早く終わるということは、リハ終わりからライブが始まるまでの時間がけっこうあるということ。そこで楽屋でどう過ごすかが肝心になってくる。靴を脱いでごろりと横になれるソファがあるとリラックスできて大変よいのです。みなさん、ソファ置いてください。もう一つ贅沢を言うなら、洗面台もあるといいです。ライブの直前に髭を剃りたい。そういう時にトイレにしか洗面台がないタイプの楽屋だと他のスタッフも洗面台を使いたいかもしれない…と思い、一人で独占するのが申し訳なくなってしまいます。楽屋内に洗面台があれば誰にも邪魔されず、念入りに身支度ができるのでありがたいです。さらにもっと贅沢を言うならば、楽屋に会場の様子がわかるモニターがあるとうれしい。ライブハウス内がお客さんの背中でどんどん埋まっていく様子を眺めているとモチベーションが上がります。小走りで前のエリアを取ろうと急ぐ人などをみつけると、より一層ワクワクします。「めっちゃ楽しみにしてくれているんだ」というのがわかると、こちらのやる気も上がります。それ以外のものだと、ウェットティッシュくらいを置いておいていただけたらもうそれで十分です。消耗品ですし、絶対に必要なものなのでありがたく使わせていただきます。差し入れも、お気遣いいただくことがありますが、「本当に気を遣っていただかなくて大丈夫です」と申し上げたい。以前、「ボロフェスタ」の発起人でもある、京都の「Live House nano」の周年イベントで、トイレットペーパーを2ケース車に積んで持っていったことがあります。その時に店長のモグラさんに「こんなんいっちゃんうれしいわ」と喜んでもらえた。暮らしで必ず使う紙をもらうことほど、合理的かつ相手を困らせない差し入れはないと思っています。おかざきたいいく自身初となるEP『Suplex』(SME レコーズ)配信中。開催中の「岡崎体育Zepp Tour 2024」も、いよいよ6/2東京(ダイバーシティ)でファイナル!※『anan』2024年5月29号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年05月26日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「武田真治さん」です。先日、配信リリースしたEP『Suplex』のリード曲である「失恋ソング」はMusic Videoも制作しました。この連載でも紹介しましたが、気鋭の俳優・富田望生さんに出演いただき、彼女がカラオケボックスで「失恋ソング」を熱唱するというもの。そのカラオケ映像の中に僕も登場していますが、もう一人サプライズとして登場してくださっているのが武田真治さんです。なぜ、武田真治さんなのか。それは、今回楽曲にもサックスの演奏で武田さんに参加いただいているからです。楽曲制作中に、編曲の野村(陽一郎)さんと「間奏のギターソロがかっこよくていいけれどギターじゃない別の楽器で試してみたい」という話になったのですが、僕が「サックスはどうですか?」と提案して、「じゃあサックス奏者は誰に依頼しよう」という話に。その時に、昨年の「風とロック芋煮会」の野球大会で武田さんとご挨拶したことを思い出したんです。本当に会釈を交わす程度の簡単な交流だけだったのでダメ元で依頼したら、思いがけず即答でご快諾いただけた。しかもとても積極的に参加してくださったんです。こういう曲なんですという説明とともに音源をお送りしたら、本当に秒で演奏のデモ音源が返ってきた。しかもこちらのお願い通りのソロ演奏もありつつ、武田さんのアイデアたっぷりのアレンジもあれこれ送ってくださって。お返事には「めちゃくちゃ素敵な曲ですね」と曲の感想も。いや、あなたこそどんだけ素敵な方なんですか!とうれしくなりました。ミュージシャンもいろんなタイプの人がいて、仕事として淡々と演奏をこなす方もいます。もちろんそれはそれでプロって感じでかっこいいのですが、今回の武田さんのように自ら進んで演奏を楽しんでくださると、お願いしてよかったなと本当に思います。それもあり、せっかくならMVにも参加いただけないかと思ったんです。オファーをすると、またマネージャーさんからお返事が即戻ってきて「本人、やる気満々です!」と。撮影現場でもユーモアたっぷりに場を盛り上げてくれて、ご自身のYouTubeチャンネルの動画まで撮影してくださった。テレビやエンタメ業界でも長い間活躍されてる方って、やっぱりこういうサービス精神や心意気があるんだなと、あらためて実感することができました。武田さんのポジティブなインパクトをこの曲の魅力にすることができてよかったです。おかざきたいいくEP『Suplex』(SMEレコーズ)配信中。「失恋ソング」MVは本人映像ver.も公開中。「岡崎体育 Zepp Tour 2024」もいよいよファイナル、6/2東京(ダイバーシティ)!※『anan』2024年5月22日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年05月18日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。 今回のテーマは「デジタル化横展開推進協議会」です。横の連携を強めてデジタルを使った社会課題解決を。ITベンダーなどの民間企業や大学、自治体などとデジタル庁が協力をして、3月に「デジタル化横展開推進協議会」を設立しました。マイナンバー制度を筆頭に、日本のデジタルの仕組みはなかなか思うように進んでいません。これは企業や自治体ごとにシステムが異なっていたり、業界内の棲み分けが下請けまで連なり、情報を共有できずITインフラが広がらなかったんですね。それに危機感を抱いたデジタル庁は、民間主導・官庁支援型の「デジタル化横展開推進協議会」を立ち上げることになりました。「新しい標準」という標語を掲げ、社会課題ごとにプロジェクトを立ち上げて、各企業が横でつながり、解決のために技術協力し合う仕組みを作ろうという試みです。少子高齢化や過疎化、災害対策など、解決しなければいけない社会課題はたくさんあります。課題ごとならば目的は明快ですし、協力もしやすい。官公庁もプロジェクトに合わせて、規制緩和やバックアップがしやすくなります。協議会の設立記念イベントでは、取組に賛同した民間企業・団体、大学、自治体などから、オンラインを含め350人が参加しました。設立の背景には、能登半島地震の時に、「防災DX官民共創協議会」が大きく機能したという成功体験がありました。防災分野において、データの連携などで技術を出し合おうと、デジタル庁と民間事業者が連携したんですね。被災地ではマイナンバーシステムが使えなかったので、東日本旅客鉄道株式会社の協力のもと、交通系ICカード「Suica」を被災者に配り、物資の受け取りや健康診断の受診などをスムーズに行えるようにしました。日本のデジタル政策は遅れており、コロナ禍でも給付金の支給に時間がかかるなど、欧米諸国に水をあけられていました。情報漏洩や銀行のシステムが止まるなど問題も頻出。「デジタル敗戦」といわれ、本腰を入れて状況を変えなければという機運に満ちています。デジタル庁ができて2年半、その存在意義が浮かび上がってきたのかなと思います。デジタル化横展開推進協議会は6月から本格始動します。今後の動きに注目しましょう。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2024年5月22日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2024年05月18日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。 今回のテーマは「政治倫理審査会」です。政治家の責任追及をする新たな仕組みが必要。「政治倫理審査会(政倫審)」とは、政治倫理確立のため、議員が行為規範や法令に著しく違反し、政治的道義的に責任があるかどうか審査し、勧告を行う機関です。’76年に世界的な汚職事件「ロッキード事件」が明るみになり、’83年、田中角栄元首相に有罪判決が下りました。これを機に政治家の倫理が問われ、疑惑に対して自らが語り、説明責任を果たす場として、’85年、衆参両院に政倫審が設置されたのです。政倫審委員の3分の1以上が申し立てて過半数の賛成を得るか、議員本人が自ら申し出れば開催できます。ところが、’96年まで一度も開かれたことはありませんでした。最初に開かれたのは加藤紘一議員の共和汚職事件です。総合商社「丸紅」と鉄骨加工メーカー「共和」の架空取引が摘発され、元北海道開発長官の阿部文男議員が逮捕されました。関係を指摘された加藤議員が、嫌疑を晴らしたいと手を挙げ開かれました。その後は’98年の山崎拓議員の泉井事件、’01年の額賀福志郎元防衛庁長官のKSD事件などで開催。国会の証人喚問で嘘をつけば偽証罪に問われますが、政倫審に罰則はなく、偽証罪も適用されません。出席も拒否することができ、原則非公開です。’02年、公設秘書給与流用疑惑の田中眞紀子議員は「テレビ中継しても構わない」と言い、政倫審がメディアで大変注目されました。今回、自民党の政治資金パーティを巡る裏金事件では、80名以上の自民党議員が関わっていましたが、政倫審への出席を拒否した人もいました。出席してもシラを切るばかりで、なんの追及にもならなかった印象です。ロッキード事件以降、幾度も議論をしてきたはずですが、日本には政治家が事件について説明責任を果たしたり、国民が望むような形で捜査が進むような仕組みがないことがよくわかりました。今こそ、「政党法」のような形で、政党がやるべきことは何か、政党に所属している議員はどう金を扱うべきかを明記する必要があるのではないでしょうか。政治団体に寄せられたお金は、税金ではありませんが、ほぼ全て公金と捉えていいと思います。だからこそ使う側の責任はとても重いのです。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2024年5月8日‐15日合併号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2024年05月07日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「完売」です。「岡崎体育 Zepp Tour 2024」が絶賛開催中です。全国を回っています!今回、チケット完売を目指し、積極的に自分のSNSのアカウントを使って、販売を促進するためのセルフキャンペーンをツアーが始まる前に行いました。会場ごとのチケットの残数を記した僕のポストを見かけた方もいるのではないでしょうか。なんでそんなことをしたかといえば、当初の券売状況が非常に厳しかったからです。最初にチケット販売会社から送られてくる購入状況のデータでは、なんと全体の30%ほどしか売れてなかったんです。コロナ禍以降、生のライブを観に行くという行動が以前ほど戻らず、音楽業界全体としてチケットの売り上げが落ちているというのは聞いていましたが、自分ごととしてそれを受け取ったのは正直ショックでした。降りかかり方があまりにもどしゃぶりすぎました。確かに、ここ数年の僕はより幅広い層に認知していただくために、TVドラマに出演したり、子ども向け番組に出たり、バラエティに出たりと、どちらかといえばミュージシャン以外の活動が多かった。それが、ひとりのミュージシャンとして、この人の曲で踊りたい、一緒に歌いたいと思ってもらえるような求心力・集客力に結びつきにくかったのではないか、と感じました。でも当然ですが、岡崎体育をドラマで、バラエティで、TVCMで知った人たちにひとりでも多く、ライブに行ってみたいと思ってほしい。それで、自分にできることは何だろうかと考えて、セルフキャンペーンを大々的に打つことにしたんです。先にも言いましたが、今回は会場ごとに1階席の残り枚数も正直にポストしています。これは僕の哲学なのですが、ポジティブなことにしろネガティブなことにしろ、数値は正直に正確に出していきたいから。変な隠し事はしたくないし、僕にとって恥ずかしいのはチケットが売れてない現状を知られることではなく、売れずにそのままツアーが終わってしまうこと。かける汗はかいて後悔なくツアーを完遂したかった。結果、チケットの販売数は82%まできました(4月15日現在)。奈良のライブハウス「NEVERLAND」で初めてライブをしたときも、さいたまスーパーアリーナで夢のステージを実現したときも、SNSで僕は必死にビラを配って集客をしていた。そんな自分の原点を、久しぶりに思い出した気がします。おかざきたいいく自身初となるEP『Suplex』を引っ提げて開催中の「岡崎体育 Zepp Tour 2024」も残すところあと2か所。5/12大阪(ベイサイド)、6/2東京(ダイバーシティ)。※『anan』2024年5月8日‐15日合併号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年05月07日去年2月、男女混成の8人組グループとして再出発したlyrical school。現体制初となるオリジナルアルバム『DAY 2』をリリースされたということで、今作の聴きどころを教えてもらった。夢の「コーチェラ」出演に向けて布石となるアルバムが完成。「『Ultimate Anthem』は、今後のリリスクを象徴する曲になると思います。ライブでは声出しや手拍子など、一体感を生む仕掛けもあります!」(ryuya)「私もこの曲が一番のお気に入りで、〈New lyrical empire〉というフレーズの通り、リリスクの新しい姿を打ち出した曲になっていて。個人的にも満足いく歌入れができた自信作です」(hana)「自分がフックを歌わせていただいた『Fallin’』は、最初に僕がレコーディングをして、あとからメンバーの声が入った音源を聴いたときに感動しましたね」(malik)「『Ringing』の歌詞は頭の中を覗かれてるような感覚になるほど、私そのものっていう感じがします」(sayo)「『Night Walking』は、私とryuyaで歌っているのですが、初めてロングバースでラップできたことも嬉しかったです!」(mana)「キーが高くて歌えるか心配だった『DRIVE ME CRAZY』は、歌い込むにつれて声が出るようになって。おかげで歌唱レベルが上がりました」(tmrw)minanさんとreinaさんは、chelmicoのRachelさんが作詞した楽曲を挙げた。「『CHOCHO』は人生に迷っている方々の背中を押してくれる曲になっています」(minan)「今やライブの定番曲の『mada mada da!』は夏に向けて気持ちが上がる曲です」(reina)アルバムのラストを飾るのは、現体制になって初めて発表した楽曲「NEW WORLD」だ。「一番歌っているし、一番聴いてきた思い入れの強い曲。それが今作に収録されたことで、改めて胸にくるものがありました。始まりの曲だけど、この先も私たちの心の支えとなってくれる宝物です」(mana)渾身の作品を完成させたリリスクに、今後の目標を聞いた。「私たちは『コーチェラ・フェスティバル』出演を最終目標に掲げていて。今作が夢を掴む布石になればと思っています」(minan)現体制初のオリジナルアルバム『DAY 2』。8人になって最初のデジタルシングル「NEW WORLD」、最新曲「Ultimate Anthem」「Ringing」を含む全13曲収録。【通常盤(CD)】¥3,300(ビクターエンタテインメント)リリカルスクール左下から反時計回りにreina、tmrw、mana、sayo、hana、ryuya、minan、malik。2010年ガールズラップユニットとして結成、’23年2月から現体制に。5月5日、渋谷 The GAMEで「lyrical school oneman live 2024“DAY 1”」開催。※『anan』2024年5月1日号より。写真・小笠原真紀取材、文・真貝 聡(by anan編集部)
2024年05月01日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「花粉症」です。先日、「正月から取り憑かれたように毎日ヨーグルト食べてたら花粉症治ってんけど」とXにポストしたら、それが瞬く間に拡散され、ネットニュースにまでなって驚きました。きっと、それくらい花粉症に苦しめられている人がたくさんいるのでしょう。僕も昨年まではそのうちの一人でした。発症したのは20代前半の頃。年々ひどくなり、ここ数年はくしゃみは止まらないし、目が痒すぎて開けていられないほど。夜も鼻が詰まって眠れなくなるし、本当に「春、キライ!」という状況でした。花粉症は、ミュージシャンという稼業にとってかなりの天敵です。鼻声ではレコーディングもろくにできませんし、喉がイガイガしていてはライブにも支障が出まくりです。僕もこの春Zepp Tourが控えていたので、花粉症がひどくなったら嫌やなと思っていました。花粉症対策は、もはやミュージシャンとして欠かせないものなのかもしれません。業界の先輩方からもさまざまな治療法があることを教えてもらっていました。あそこのお医者さんがいいだとか、舌下治療が効果あるとか…。しかし、僕は今年自力で脱・花粉症を実現しました。きっかけは、口臭予防でヨーグルトを食べ始めたことです。実践したことも、Xに事細かにポストしました。僕がやったことは、(1)継続期間は今年のお正月から2か月間ほぼ毎日ヨーグルトを摂る。(2)1日2回(朝と寝る前)。(3)ヨーグルトの種類はコンビニに売ってる飲むヨーグルトの大きいサイズのやつ(朝)と、スーパーに売ってる4個セットのやつ(寝る前)。これを続けていたら、みんなが「今年の花粉はひどい」とどんなに言っていても、花粉症らしい症状が出ていません。ヨーグルトは腸内環境を整えてくれるので、それがよかったのかなと思っています。あとは、花粉が飛び散る前からやっていたのがポイントだったのかなとも思いました。これが万人に効くのかどうかと言われるとエビデンスが僕1人なのでなんとも言えませんが、そういう方法もあるんだと参考程度にしていただけたらと思います。春の花粉シーズンはそろそろ終わりますが、このヨーグルトルーティンをいつまで続けるべきかを実は今、悩んでいます。やめた途端、なにかしらの花粉アレルギーが始まったらどうしよう?と怖くて。謎のヨーグルト療法カルマを背負ってしまっています……。おかざきたいいく自身初となるEP『Suplex』(SME レコーズ)配信中。「岡崎体育 Zepp Tour 2024」開催中。4/27名古屋、4/29福岡、5/12大阪(ベイサイド)、6/2東京(ダイバーシティ)。※『anan』2024年5月1日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年04月28日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。 今回のテーマは「日経平均株価」です。株価上昇と暮らし、直結しているわけではない。日経平均株価が史上最高値を更新、3月に初の4万円台に乗せたと大きく報道されました。しかし、日本の株価が値上がりしても、景気が良くなった実感を得られない人がほとんどです。そもそも日経平均株価は、日本全体の企業の株価の平均値ではありません。「日経225」という、日本経済新聞社が東証プライム上場銘柄から選んだ、225の銘柄の平均株価です。幅広い業種から選定されていますが、グローバルに展開する大企業ばかりでベンチャー企業は入っていません。日本は9割以上が中小企業ですから、日経平均株価が上がっても、大企業が海外で儲けて、海外に投資しているという状況で、日本国内の雇用や賃金にダイレクトに反映されるものではないんですね。今年の春闘では、平均5%超の賃上げ率となりました。しかし、物価上昇を考えると、23か月連続でマイナスとなっている実質賃金がプラスに転じるかはわかりません。にもかかわらず、日銀はマイナス金利の解除や金利の引き上げを決定したため、大変心配です。企業がなかなか賃金を上げられなかった理由の一つは、給料を上げると社会保険料の負担も増えてしまうからです。売り上げが落ち、給料を支払えない状況に陥っても社会保険料の請求は続きますので、中小企業の経営者は簡単には賃上げすることができません。そんななか、大分県と群馬県は自治体が企業に奨励金や補助金を出し、物価上昇を上回る賃上げに成功しました。いま国がやるべき政策は、消費税の免除や、社会保険料をいったん凍結するなど、市民の負担感を減らし、豊かさを実感させることだと思います。株価が上がるというのは、会社の財政の健全性や、その事業に対する将来性を見込まれたということです。ただ、いま日本企業の株が海外投資家に買われているのは、「安いから」という理由もあります。せっかく日本株が買われているのだから、大企業は国内に投資をして、雇用を生み、従業員の賃金が上がる流れを作ってほしいと、国も経済界もリクエストしています。足元のローカル企業を育成しなければ、日本の経済は復活しませんし、将来的な成長も見込めないでしょう。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2024年5月1日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2024年04月27日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「デモ音源」です。楽曲を制作するとき、アレンジを外部に発注する場合はまずデモ音源を作ります。絵を描く前の下描き、ラフスケッチのようなものです。僕のデモの場合、そのラフスケッチがガチで“ラフ”です。本当に簡単な線だけで描いている落書きのようなものと思っていただいていい。ドラムの簡単なビートを入れて、ピアノでコード進行を白玉(全音符)だけでじゃーん、じゃーんと弾いて、メロディを適当な歌詞で歌う。漫画で言えば、ネームもなければコマ割りもしてないような、だいたいこういう話で、こういうトーンになる予定ですよ、ということだけわかるもの。自分で編曲まですべてする際はここから肉付けしていくのですが、アレンジャーに依頼する場合は、「ここから先はお任せします」とお渡しします。アレンジャーの方々には、「こんなにざっくりとしている自主性のないデモは初めてだ」とよく言われます。いや、そのまったく主張のないデモが岡崎体育らしさです。それがいいのか、よくないのか。アレンジャーの方からすると両方の意見があるようです。「もう少し固めてから渡してほしい」という方と「自由度があって腕が鳴る」という方と。たとえば、「Knock Out」という楽曲は、ハードコア・バンドPaleduskのDAIDAIくんにアレンジをお願いしたのですが、これはマジで僕の中でもラフ中のラフで彼にお渡ししました。DAIDAIくんもどうアレンジするべきか、とても悩んだと思います。でもその結果、彼自身の色をめちゃくちゃ出してくれて、とてもかっこいいアレンジを施してくれた。あがってきた楽曲を聴いて、「こんなに生まれ変わるんだ!」と、誰かと一緒に楽曲を作り上げる楽しさを実感したことを覚えています。いやいや、一緒というよりDAIDAIくんの力量ですね、これは。そんなわけで岡崎体育はデモ音源集を出すのはまず無理ですね。はっきり言って聴いていられない!……でも、あえて聴いていただくのもいいかもしれません。できあがった曲と比較したらアレンジャーのみなさんのすごさがわかると思います。僕たち作曲家は0から1を生み出しますが、それを100にも1000にもしてくれるのがアレンジャー。編曲の力でその曲がヒットするかしないかも決まる。僕の主張のないデモをどう進化させてくれているのか、いつか知ってもらえたらいいかもしれません。おかざきたいいく自身初となるEP『Suplex』(SME レコーズ)配信中。「岡崎体育Zepp Tour 2024」がスタート。4/21札幌、4/27名古屋、4/29福岡、5/12大阪(ベイサイド)、6/2東京(ダイバーシティ)で開催。※『anan』2024年4月24日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年04月22日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「ダブルケア」です。晩婚や晩産により増大する問題。社会全体で解決を。「ダブルケア」とは、育児と介護が同時期に発生している状態のことを指します。晩婚と出産年齢の高齢化により、この問題が指摘されるようになりました。内閣府は平成28年に27年度の「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」を公開。それによると当時のダブルケアの推計人口は全国に25.3万人。そのうち女性は16.8万人で男性は8.5万人でした。その後も晩婚化、晩産化は進んでおり、今年毎日新聞が国の統計から推計した数字では、ダブルケアに直面している人は29万3700人にのぼるとされています。ダブルケア当事者は30代、40代が多く、働き盛りの世代。育児も介護も女性が担うことが多く、女性が仕事を辞めざるを得ないというのが深刻な問題としてあります。調査では、ダブルケアを行う無業の女性の約6割が就業を希望。働いて家計を助けたいけれども、約8割が、育児や介護を抱えながらでは非正規雇用でないと働けないと答えています。育児のみを行う無業の女性も同じ傾向なので、働き方の構造的な問題といえます。ダブルケアを行う男性の半数以上が、配偶者からほぼ毎日手助けを得ているのに対して、女性は4人に1人にとどまっています。女性が一人で抱え込んでしまっているケースが少なくないんですね。ダブルケアに携わる女性が、充実させてほしいと希望している第1位は休暇・休業を取得しやすい職場環境の整備。続いて、上司や同僚の理解、テレワークやフレックスタイムの導入でした。企業は、ダブルケアに対応する就労システムの導入が今後の課題になります。当事者に聞くと「急な対応を迫られた時に、すぐに駆けつけて助けてくれる人がほしい」と話していました。提案ですが、育児や介護の人材派遣を公共事業として立ち上げてみてはどうでしょうか。消防や警察のように、育児や介護を手伝うレスキュー隊員的役割を公務員が担うのです。ついに中国でも人口減少が始まり、東アジアでは超少子化、高齢化が進み、ダブルケアは東アジア全体の問題になりつつあります。この分野の課題解決に各国で相互交流、連帯をする必要があるのかもしれません。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2024年4月24日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2024年04月22日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「Zepp Tour」です。いよいよ、4月14日から「岡崎体育 Zepp Tour 2024」がスタートします。横浜、札幌、名古屋、福岡、大阪そして東京の全国6都市を巡ります。全体のテーマとして今回、アメイジングモンスターズというキャラクターを召喚しました。4月14日横浜の“無神経ペガサス”にはじまり、“社会派ケンタウロス”“冷静ドラゴン”“心配性ケルベロス”…など、会場ごと異なるモンスターが公演のタイトルになっています。この“アメモン”たちのトレーディングカードなどグッズをあれこれ配ったり売ったりする予定です。ぜひみなさんに、全部の“アメモン”を集めるために全通を試みていただけたらと思っています。チケットは…まだあります!また、今回のツアーをより良いものにしたいとツアースタッフのみなさんと決起集会という名の飲み会を行いました。前回のライブハウスツアーを踏まえて、Zepp Tourはどんなライブにするべきかをざっくばらんに話し合い、岡崎体育にはやっぱりZeppが似合うという話で盛り上がりました。岡崎体育のライブは映像を入れたり、照明をバチバチに利かせたりなどギミックたっぷりのほうがより盛り上がる。アジテーターとしての岡崎体育が映えるというお褒めの言葉をいただきました。実際に広いフロアでみんなで盛り上がれるような高揚感をお届けできる新曲もできています。その他いま構想中の内容も絶対に面白いし、Zeppという会場との相性もいいはず。ぜひ多くのみなさんに足を運んでいただきたいです。繰り返しになりますが、チケットは…まだあります!その一方で、決起集会では「最近、円くなりすぎなのでは?」との指摘も受けました。「守りに入りすぎなのではないか」「もっと尖った人であってほしい」と。確かに、それは加齢もありますし、好感度の高いCMにも出演させていただいています。円くなっても仕方ないのでは?というか、スタッフと話し合った通りにここまでやってきたのに、それでいい波に乗っているだろうに、なぜ「円くなるな」と言われてしまうのでしょう…。いや、でも、ずっと僕のことを見てきてくれた方々がそう言うのであれば、いまの僕はちょっとエッジ感が足りないのかも。ツアーでは、お客さんを置いてけぼりにするくらいの尖った仕掛けも準備したいと思います。いまの岡崎体育の尖り具合をぜひZeppに確かめに来てください!おかざきたいいく自身初となるEP『Suplex』(SME レコーズ)配信中。「岡崎体育Zepp Tour 2024」は、4/14横浜、4/21札幌、4/27名古屋、4/29福岡、5/12大阪(ベイサイド)、6/2東京(ダイバーシティ)で開催。※『anan』2024年4月17日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年04月13日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「お蔵入り」です。2週連続で告知をさせてください。3月27日にEP『Suplex』を配信リリースしました。熱心な岡崎体育ファンはご存じかと思いますが、僕はアルバムに1曲か2曲“捨て曲”を入れます。よくCD屋さんのポップなどで「捨て曲ナシ!」などと書かれていることがありますが、僕は自ら「捨て曲はアリ」としています。サクッとできた、いい意味で気の抜けた曲が“捨て曲”。今回だと「宇宙と長野」がそれです。メロディラインも5分ほどでできたくらい、妙に肌なじみのいい曲です。キーも自分に合っているのでとても歌いやすい。あまりにスルッと生まれて、サクッと収録も決められたのでまさに“捨て曲”です。一方で、レコーディングもしたのに収録をせず、考えに考えた末にお蔵入りさせてしまった楽曲もありました。実は、こういうふうに曲を“お蔵入り”させることは岡崎体育としてはほぼ初めてのことです。岡崎体育はソロアーティストではありますが、レコーディングに辿り着くまでにはたくさんの方に協力していただき、みなさんにいろいろな仕事をご担当いただいて一曲を仕上げます。そのほぼ終わりまで近づいた曲をお蔵入りにするのは、ちょっと悩ましいものがありました。レコーディングをしているスタジオだって、予約をしてわざわざレンタルしているのに……とか、もったいないことをしたくない性格ゆえ、そういう余計なことまで考えてしまいました。それでも、「今リリースするタイミングではないかも」とスタッフと話し合って何曲かを蔵に入れました。いや、蔵といえるほど大層なところにしまい込んでいる感覚もありません。ちょっとだけ外に干しておいてみよう、一回あえて寝かせてみよう、くらいの感覚です。しばらく置いておくといい味が出るかもしれません。なので、もう少ししたら違った形でみなさんにお届けできると思っています。スタッフにも、「レコーディングしたけどお蔵入りにすることなんて、普通によくあることだよ」と励まされました。僕が大好きなロックバンド、リンキン・パークもそういえばそうだったと思い出しました。2003年発売の名アルバム『メテオラ』でお蔵入りしていた未発表曲を、昨年アルバム発売20周年を記念してリリースされた特別盤に、突如収録してファンを驚かせた。そういうサプライズにもなるかもしれないので大事に置いておきたいと思います。おかざきたいいく自身初となるEP『Suplex』(SMEレコーズ)を引っ提げてのZeppワンマンツアーが、4/14横浜からスタート。4/21札幌、4/27名古屋、4/29福岡、5/12大阪(ベイサイド)、6/2東京(ダイバーシティ)の全国6か所で開催。※『anan』2024年4月10日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年04月06日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「脳埋め込みデバイス」です。神経回路の損傷を補足するための脳インプラント。脳とコンピューターをつなぐブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)を開発する会社「ニューラリンク」。1月末に初めて人間の脳にデバイスを埋め込む臨床試験を実施したと、創設者のイーロン・マスク氏が発表しました。被験者は、直接手を動かすことなく、思考するだけでコンピューターのカーソルを動かせるようになります。ワイヤレスでそれが可能になったというのは画期的なことでした。脳に埋め込むとはいえ、ニューラリンクが接触するのは、体を動かす機能に関わる大脳の外側部分です。頸髄を損傷したり、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などにより、四肢を自由に動かせない患者が、PCやロボットアームなどの機器を操作できるようになることを目的に開発しています。ですから、イマジネーションなど、いわゆる思考そのものに携わる脳の深層部に働きかけるわけではありません。BMIの分野は、今世界で注目されています。日本でも大阪大学の平田雅之教授率いる研究室が、ワイヤレス体内埋込型BMI/ブレイン・コンピューター・インターフェイス(BCI)を研究しており、医療機器のベンチャーとして「JiMED(ジーメド)」を2020年に設立しました。ニューラリンクをはじめ、欧米のBMIは主に「侵襲型」といって、デバイスを直接脳に繋げて脳波を計測します。しかし、脳はデリケートな臓器ですから、直接埋め込むのは大変なリスクも伴います。日本では「低侵襲型」という、脳への負担を軽減した技術の開発を積極的に進めようとしています。低侵襲型は、侵襲型に比べて精度が低いといわれていましたが、最近の研究ではほぼ同等のデータを得ることが可能になりました。脳科学者の茂木健一郎さんは、これを機に、自分の脳への興味を深めてほしいと話していました。今後、議論が必要になるのは倫理の領域でしょう。研究開発がさらに進み、脳の思考を司る部分までもが人工的にコントロール可能になった時に、誰が何の目的でそれを使うのか。デバイスがハッキングされることはないのか。あらゆるリスクを考え、事前に議論をし、対策をとっておかないと危険だと思います。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2024年4月10日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2024年04月06日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「初EPをリリース」です。今号が発売になる本日、3月27日にEP『Suplex』を配信リリースします。岡崎体育史上初となるEPのリリースです。なのですが、そもそも“EP”とはなんなのでしょう。Googleで調べてみると「Extended Playingの略。収録時間がLP(フルアルバム)よりは短いが、シングルよりは長い」ものを指してEPと言うそうです。今回の僕のEPも5曲入り。昨年よりアルバムのリリースを予告していますが、先にいいものが5曲まとまったので早く聴いていただけるならそれに越したことはない、とリリースすることにしました。僕的なマインドとしてはラーメン&半チャーハンセットの半チャーハンのようなものです。ファンのみなさんを空腹でお待たせするのは忍びなく、先に半チャーハン、食べておいてねと思っています。収録されているのは、とても思い入れのある5曲です。すでにライブで披露している「サブマリン」や「宇宙と長野」、B.LEAGUE 2022‐23 SEASONの公式テーマソング「Insane」のセルフカバーも収録しています。まっさらの新曲も2曲入っています。「失恋ソング」はまさにタイトル通りで、岡崎体育としては珍しいラブソング。最近、僕の周囲でみんな失恋しているなと思ったので、それならと明るくポジティブな失恋ソングを書き下ろしてみました。この曲は本日、ミュージックビデオも公開になるので、それもぜひ見てほしいです。もう一曲の新曲はこの連載でも話をしていた、人間を脅かすAIをテーマにした「Rebirth」というダンスチューン。バラエティ豊かな5曲になったのではないかと思います。個人的にもとても満足しています!タイトルの“Suplex”はプロレスの技の一つ。相手の背後に回って担ぎ上げ、そのまま体を反らして後ろに投げ飛ばす技です。この技はかけている本人もどこにどう飛んでいくのかわからない。今後の行き先がどうなるかわからない、そんな僕の気持ちが込められています。……というのも実は今思いついたくらい、これからの岡崎体育は未知数です!このEPを引っ提げてのZeppワンマンツアーも4月から始まりますし、もう少ししたらフルアルバムもリリースする予定です。アルバムは現在鋭意制作中で、さまざまな方向性の曲をどうまとめるか吟味中の段階。どんな未来が待っているか、一緒に目撃してください。おかざきたいいくZeppツアーは、4/14横浜のほか、4/21札幌、4/27名古屋、4/29福岡、5/12大阪(ベイサイド)、6/2東京(ダイバーシティ)の全国6か所で開催。※『anan』2024年4月3日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年03月30日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「性同一性障害特例法」です。まだ小さな一歩。あらゆる人の人権を守る法律を。昨年10月、性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更するために、生殖能力をなくす手術を受ける必要があるとする法律は、人権侵害にあたり憲法に違反すると最高裁判所が判断しました。現在「性同一性障害特例法」では、戸籍上の性別変更を認める要件として、【1】18歳以上。【2】現在結婚していない。【3】未成年の子供がいない。【4】生殖腺や生殖機能がない。【5】変更後の性別に似た性器の外観を備えている。加えて、2人以上の医師から性同一性障害の診断を受ける必要があると定めています。【4】と【5】を満たすためには、事実上、手術を受けなければいけません。しかし、体に傷をつけないと、自分の性別が認められないと法律で定めているというのはとても理不尽な話です。ちなみに、最高裁が法律の規定を憲法違反と判断したのは、戦後12例目。違憲判決を勝ち取るのはとてもハードルの高いことなんですね。この判決が下った背景には、セクシュアリティの問題に対して、保守的だったカトリック教国が理解を示しはじめたという世界的な潮流があります。ローマ教皇庁が同性カップルへの祝福やトランスジェンダーの洗礼を容認したことも大きく影響しているでしょう。2012年、アルゼンチンで初めて精神科医の診断なしに性別変更を可能とする法律が制定され、続いてデンマークやマルタなども同様の法律を施行しました。’13年にはアメリカ精神医学会で「障害」という言葉を使わず、「性別違和」と呼ぶことに。’17年、欧州人権裁判所が性別変更のために生殖能力をなくす手術を課すことは人権侵害という判断を下し、’18年にWHOは国際疾病分類の改定で、生まれた時に割り当てられた性別と、自認する性別が異なる状態を「ジェンダー・インコングルエンス」として精神や行動などの障害から外し、「性の健康に関する状態」に分類しました。現在、医師の診断書なしに性別変更が認められる国は欧州を中心に11か国にのぼります。日本では’22年までに全国の家庭裁判所で1万1919人の性別変更が認められました。性同一性障害特例法の要件は本当に必要なものなのか、議論を求める声が上がっています。ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。※『anan』2024年4月3日号より。写真・小笠原真紀イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2024年03月30日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ひとりっ子」です。僕は兄弟姉妹のいない、ひとりっ子です。ひとりっ子であることが自分の人格形成に大きく作用しているということをこの歳になってより強く感じています。ひとりっ子は基本的に天の邪鬼だと思います。まず、上下関係を意識させる兄弟姉妹という属性を持たずに育ったことで、逆に属性を求める傾向があります。家の中で子どもはずっと自分ひとり。それゆえに、寂しさからつい誰かを求めてしまうところがあるんです。その一方で、周囲は大人ばかりだから甘やかされているし、自由になんでもできる環境で育っているので自分勝手なところも。誰かといたい寂しがり屋だけど、実はひとり好き。そんな天の邪鬼さがひとりっ子の最大の特徴です。僕はまさにそんなひとりっ子カルマを背負ってミュージシャンになったのだと実感しています。だってそもそもはバンドを組みたかった。仲間と一緒にグループで音楽活動をしたかったのに他のメンバーに寄り添うことがうまくできず、チームをまとめられなかった。誰かとやりたい気持ちとワンマンプレーの性格がまったく噛み合わず、バンド存続は叶わなかった。それは、ひとりっ子ゆえのわがままさからだと感じています。一方で、ソロアーティストとして夢を叶えることができたのも、ひとりっ子ゆえの自己顕示欲の強さからだと思っています。大人の中で育つと自分ひとりがみんなの注目を独占でき、ちやほやされると思われがちですが、僕は逆の側面もあると思います。大人しかいないので同じ世界を共有できる同世代が家にいない。大人は仕事や家事で常に忙しそう。誰も自分のことを見てくれない、わかってくれないというジレンマが生じ、それが強い自己顕示欲となって僕の「音楽を通じて誰かに伝えたい」というモチベーションになったのでは?そのことに数々のインタビューを受ける中で気づかされました。アーティストへのインタビューって子どもの頃からを振り返らせるものがとても多い。自分の根本について考えすぎて、それはすべてひとりっ子ゆえの衝動からくるものだと気づいてしまったんです。ひとつの悟りでした。自分の強い衝動が、過去のトラウマが…とかじゃなく単に「ひとりっ子だったからかい!」とわかって以降、肩の力がちょっと抜けました。それなら音楽だけじゃなく、何に挑戦してもいいよな、と活動の幅を広げるきっかけにもなったのでした。おかざきたいいく4月14日のKT Zepp Yokohamaを皮切りに、6月2日のZepp DiverCity(TOKYO)まで、全国6か所でのZeppワンマンツアーを開催。※『anan』2024年3月20日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年03月17日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「スキルアップ」です。人生、何歳になってもスキルアップしたいものです。僕が今もっとも欲しいのは、何かを作ることができるスキル。料理は味の良し悪しやスピードなど精度を求めなければ一人でひと通りできるようになったので、次に作れるようになりたいのは、日用のいろいろなモノ。いわゆる工具を使ってDIYできる技術を手に入れたいです。将来、子どもが生まれてお父さんになったときに、おもちゃをサッと直せるとか、椅子とか机を作ってあげられるだとか、そういうことができるようになりたいです。それができれば自分の人生がより良くなるような予感がひしひしとします。とはいえ、実は過去にDIYにチャレンジしたことはあるんです。ミュージシャンなので、僕はキーボードを使います。その本体を置く台を自作してみようと思い立ちました。しかもその台にはキャスターをつけて、机の下に収納できるようにしようと思いました。サイズを測り、ホームセンターに行って「このサイズに板を切ってください」とお願いして、電動でネジが留められるドライバーもわざわざ購入しました。道具と材料が揃い、いざDIYスタートです。しかし、ネジを打ち込むたびに板が割れます。割れると幅が想定より広がり、測っていたサイズも意味がなくなり、ガタガタしたひどい仕上がりとなりました。このときの虚無感は半端なかったです。何もできない人間なんだ自分は…と、かなり落ち込みました。それでも行動を起こせただけいい、安定感はいまいちでも完成させることはできたんだと自分を奮い立たせ、次のスキルアップに向けて前向きに考えるようにしています。そんな僕が今、作りたいと思っているのは「踏み台」です。換気扇のフィルターを掃除したいのですが高くて手が届かない。僕はまあまあ体重がある方なので、椅子に乗ってその作業をするのがちょっと怖い。だったら、僕が乗っても大丈夫なしっかりとした2段くらいの踏み台があるといいなと考えています。しかし、相手は2段とはいえ階段です。天板に脚をくっつけるだけのキーボード置きでさえ苦戦した僕が、段差のあるものをDIYすることができるのでしょうか。今から、かなり不安です。いつか上手に作ることができたら、ぜひこの場で自慢させてください。ちなみに、自作したキーボード置きは結局、やっぱりいらんと処分してしまいました。おかざきたいいく4月14日のKT Zepp Yokohamaを皮切りに、6月2日のZepp DiverCity(TOKYO)まで、全国6か所でのZeppワンマンツアーを開催。※『anan』2024年3月13日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND)文・梅原加奈(by anan編集部)
2024年03月10日