くらし情報『高崎卓馬P、巨匠ヴィム・ヴェンダース監督に「あなたじゃないとダメだとラブレターを書きました」』

高崎卓馬P、巨匠ヴィム・ヴェンダース監督に「あなたじゃないとダメだとラブレターを書きました」

かつて渋谷系と呼ばれたミュージシャンに曲を作ってもらう案から派生して、架空の映画のサウンドトラックにしたら面白いんじゃないかという話になって。そしたら柳井さんが、それなら本当に映画を作らないかと言い出したんです。存在しない映画のサントラだから、企画として面白いのに…」

映画を作るのは簡単なことではないが、一度浮かんだアイデアに対する高揚感のほうが勝ってしまった。さらに監督候補に挙がったヴェンダースを、ふたりとも敬愛していたことが決め手となった。

「ドキュメンタリーとフィクション、どちらも撮っている彼だからこそできる表現があると思ったので、“あなたじゃないとダメなんです”というラブレターを書きました。もし断りの手紙が来たとしても、それを額に入れて飾ってやるぞと思っていましたね(笑)」

主人公の平山という男は、渋谷のトイレの清掃員で、押上の古いアパートに一人で暮らしている。早朝、近所の老女が掃除する竹ぼうきの音で目を覚まし、風変わりなデザインのトイレを隅々まで磨き上げ、文庫本を読みながら寝落ちするまで、傍からは同じことを繰り返す日々に見える。高崎さんは監督と共に、平山の人物像を立体的に作り上げていった。

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