ゆっきゅん「私に与えられたポエジーは、天井から」 詩人・小野絵里華と“ポエジー”を語る
ゆ:じゃあ、子どもの頃から。
エ:物心がつく前からだったので、まだそれを「詩」とは認識してはいなかったと思います。ただ、そこにはポエジーとしか呼べないような何かはありました。
ゆ:詩って、“書くぞ”と思って始まるものじゃないですよね。
エ:絵を描くのとも似ていて、まだそれが何かはわからないんだけど、どこかほわほわするような感覚があって。大学院に行き始めた頃からちゃんと意識して、詩を書き始めました。
ゆ:以前、小野さんが書かれた論考で“言葉よりも風景=「言葉<風景」”という話をされていたと思うんですけど、私もそうなんです。私は歌詞として、きれいなもの、面白いけどまだ歌われていないことなどを歌にしたいと思って表現していて。
ただ言葉を褒められたときに、「いや違うんです、本当はこの風景自体が素敵で、私はそれにどうにか近づけるよう歌っているだけなんです」という意識なんですよね。すごいのは風景。
エ:まさに、そういう意識です。
ゆ:ちなみに、私にポエジーを降ろしてきたものは天井だったんです。ずっと家で天井を見ていて。
エ:天井って、空の比喩ではなくて?本物の天井ですか…?
ゆ:はい。