監視の目を広げるというのは大きな意味がある…堀潤の「パレスチナ、イスラエル取材報告」
その後、イスラエルの西エルサレムにも行きました。そこではイスラエルの市民が「戦争をやめるべきだ」「ハマスによって誘拐された人質を解放してほしい」と、数千人規模のデモを行っていました。多くの若者が参加しており、「選挙をしろ、投票させろ」と書かれたステッカーを壁や電信柱に貼っていました。政府が間違いを犯しているのであれば、自分たちの手で政府を変えなければいけないと訴えていたのです。この動きはイスラエルの中ではまだ少数派ですが、首都のテルアビブでも、毎週末ネタニヤフ政権反対デモが行われています。
イスラエル=ネタニヤフ政権ではありませんし、パレスチナ=ガザ地区だけでもありません。こうした実情を世界に広く伝えることは、攻撃の手を抑える圧力になります。誰も見ていなければ、もっとひどい手法で次々に人々が殺されていたかもしれません。
監視の目を広げるというのは大きな意味があります。世界中あちこちで無秩序なことが起きています。日本は平和に見えますが、息苦しさが広がっています。目を背けてはいけないと思います。
ほり・じゅんジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」