「ふつう」っぽさが多くの共感を呼んでいる!? ガールズバンド青春譚『ふつうの軽音部』
鳩野は当初、寄せ集めのメンバーでバンドを組むことになるのだが、大人数の軽音部が面白いのは、人間関係の縮図になっているところ。
「恋愛や友情にヒビが入ってバンドがあっけなく解散したり、あぶれた者同士が新しいバンドを組んだりっていう軽音部ならではの展開は、描きたいところではありました」
やがて鳩野はひょんなことから、コンプレックスだった声に注目されるように。その過程とともにバンドメンバーも大きく入れ替わり、さまざまなキャラクターの表面的にはわからなかった素顔も描かれる。
「作品のテーマは、あくまでも“しょぼい戦い”なんです。たとえばカラオケで声をからかわれたことがトラウマになってるとか、文化祭でどっちのバンドがトリを取るとか、日常にあるようなスケールの出来事に必死になっているのがいいなと思っていて。逆にどんどん成り上がっていくような話ではないので、そのなかでテンションをどう持続させるかは難しいところではあるのですが」
等身大の青春なのにというか、だからというか、妙にまぶしくて、ほほえましくて、ドラマティックすぎない成長が愛おしくなる物語だ。
原作・クワハリ漫画・出内テツオ『ふつうの軽音部』3公園での弾き語り修行を経て迎えた新学期。