心をあたためる。冬に咲く山茶花が教えてくれること【11月7日〜11日】
そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。
山茶花について
「山茶始めて開く(つばきはじめてひらく)」。山茶花(さざんか)なのに、どうしてつばきって読むの?と疑問に思う方も多いでしょう。「山花(さんさ)」は中国では椿のこと。「山茶花」という名前は、日本でつけられたそうです。
中国から伝来した頃は「さんざか」と呼んでいたそうですが、江戸時代になると「ん」と「ざ」が入れかわって「さざんか」と呼ばれるようになったとか。
山茶花と椿の花は見た目もとてもよく似ていますね。以前、九州の観世音寺(かんぜおんじ)を参拝したときのこと。境内に咲いていた山茶花の花を見てすっかり椿だと思い込んでいた私に友人が、山茶花と椿の大きな違いは花の散り方だと教えてくれました。
椿は花ごとぽとりと落ちるのに対し、山茶花は花びらがはらりはらりと舞い散り、地面に花びらのじゅうたんをつくります。観世音寺で見た山茶花の花のじゅうたんは、それは見事でした。大地が桜の花びらより色鮮やかな、赤やピンク色に。花ごとぽとりと落ちる椿の潔さもすてきだと思いますが、山茶花は散り方までやさしくて、寒さに凍える心を癒してくれます。