ホームレスからエリートまで即席コンサート!ポートランドならではのコミュニティ作りの秘訣は「要らなくなったピアノ」を街に放置することだった。
毎年、夏になると祭囃子や風鈴の音、セミの鳴き声がどこからともなく聞こえてくる。そんな音を聞くと日本人なら誰でも「夏が来たぁ」と実感するだろう。 日本の夏にはそんな音がある。実はアメリカ西海岸に位置するオレゴン州ポートランドにも実は「夏の音」が存在する。夏になるとどこからともなく「ピアノの音」が聞こえてくるのだ。ポートランドの夏の風物詩「ピアノの音」はどこからやってきているのだろうか。

そんなポートランドの街を楽しいコンサート会場へ、市民をピアニストへ、夏を美しい音色の季節へ変身させてしまうプロジェクト「ピアノ・プッシュ・プレイ」の主催者メーガン・マックジョージ(以下、メーガン)さんに、このプロジェクトを始めたきっかけと開催する意義について話を聞いた。

友人たちとポートランドのダウンタウンを歩いていた時に、チェロの音を耳にした彼女は、一緒にいた仲間に「自分もあんな風に道端で演奏できたらいいのに!」と興奮して話したという。しかし「あんた、ピアノでしょ。どうやって運ぶのよ?」と友人に笑われてしまった。確かに自宅からピアノを運ぶのは無理な話だが、ストリートで聴いた演奏に感動した彼女は、自分もやってみたい、という思いを捨て切れなかったと当時を振り返る。