ホームレスからエリートまで即席コンサート!ポートランドならではのコミュニティ作りの秘訣は「要らなくなったピアノ」を街に放置することだった。
「母親の舞台でピアノを演奏するよう説得されなければ、音楽の楽しさを思い出すこともなかったかもしれない」とメーガンさんはいう。 彼女は、そんな自分みたいに必死になってオーケストラ入りを目指すあまり、音楽の楽しみ方を忘れてしまった人たちをこの「ピアノ・プッシュ・プレイ」に引き込んでいる。コンサート会場しか知らない音楽家たちは、道端のピアノに最初は身構え、戸惑うが、肩の力を抜いて好きな曲を思うがままに弾くだけで、知らない人が足を止め、演奏を楽しんでくれる。観衆の喜びをダイレクトに感じることで、ピアノや演奏に対する固定観念から解き放たれるそうだ。
スケーターが「エリーゼのために」をピアノ演奏。
メーガンさん自身も幾度となく、意外な人物の演奏に驚かされてきたが、同様の体験に感激した周囲の声もたくさん届いているという。そんな街の人々の先入観を打ち壊す力が、このプロジェクトを続けていく近年の楽しみであり、原動力になっているそうだ。
ポートランドでは、不要とされていたピアノを中心に、アートや音楽の力で、誰もが幸せな気分を共有できる空間が生まれている。このような、ホームレス、若者、高齢者など、市民誰もが参加できるコミュニティづくりが、日本でも必要とされているはずだ。