5発目:「もう日本製だからって世界で通用するとは限らない」。25歳の漆器の伝道師が提唱するメイド“ウィズ”ジャパンとは│さとり世代が日本社会に起こす、半径5mの“ゆる”レボリューション
伝統工芸の押し付けは文化の侵略になりかねない
世界に通用させるにしても、彼はやり方にこだわりがある。その“やり方”は日本食を広めるべくフランスに進出している日本人シェフから学んだものだ。
日本人としてのアイデンティティは大事にしていながらも、日本人として日本のためにどうしようっていうのではなく、現地で自分のものを食べてくれる人のことを考えているシェフだった。現地の人に受け入れてもらえるものをつくれなくて、日本のものとしての料理をつくるだけなら文化の侵略だという考えをきいて、Made in JapanではなくてMade with Japanなのではないかという考え方が浮かんできた。
この考え方から、彼はフランス人アイウェア職人と共に、木と漆のアイウェア共同商品開発に取り組んでいる。フランスのアイウェア市場は大きく、購入費に国民保険が適応されるほど、文化として深く根付いている。フランス現地人の価値観やセンスを盛り込みながら、現地の人々の心を揺さぶる漆の表現を追求していきたいという。
こうして彼はMade in Japanとして世界に日本の伝統工芸を伝えていくことよりも、Made with Japanで世界と文化の融合をすることで世界に日本の伝統工芸を発信していきたいと考えるようになったのだ。