5発目:「もう日本製だからって世界で通用するとは限らない」。25歳の漆器の伝道師が提唱するメイド“ウィズ”ジャパンとは│さとり世代が日本社会に起こす、半径5mの“ゆる”レボリューション
輪島塗が地球を変えていく
しかし、彼が見据えているのは輪島塗の行先だけではない。
現代は、地球が持続可能な社会とはかけ離れていて、人類の消費スタイルを見直していかなきゃいけない。そんな中、日本の価値観にはアニミズムとか八百万の神というような、物を大切にするとか自然と共存していくとかいう考え方が奥深くにある。衰退しているけどまだ残っているはず。だからこそ、今の消費スタイルを変えていくきっかけになれるのは日本の伝統工芸なんじゃないかと感じている。
「地球を豊かにする消費社会の実現」こそが自然が大好きな桐本氏の目指すものなのだ。
日本が本当に発信するべきものは何なのか
もともと彼にとって、輪島塗の工房に生まれたことは自由に夢さえ語ることができず、コンプレックスに感じていたという。今、輪島塗を自らの手の中にあるように語る彼からは想像もつかなかった。
さらに目指す先は、その伝統を引き継ぐことだけでなく、日本の地方の活性化、世界に新しい価値観を届けること、そして地球規模で消費社会を変えていくことに及ぶ。オリンピックを前に、もちろん日本は世界を舞台に前に出ていかなければならない。しかし、日本からの見え方を最優先に考えてはいないだろうか。