6作目:ユーモアで「難民の現実」と向き合おう。“移民を排斥する世論”を打ち砕くフィンランドの鬼才の話題作『希望のかなた』|GOOD CINEMA PICKS
また、ネオナチが作品に出てくるように、大量に難民が流入してきたことにより、職を奪われてしまうかもしれないという危機感から難民を排斥する人々が存在するのも残念ながら事実である。このように観る者に難民にまつわる現実を見せながら、庶民の哀歓を切り取ったストーリーが展開されていく。
過酷な問題にも、いつものようにユーモアで抵抗
映画自体はほんの数カ所でしか撮影しないなどミニマルにしながらも、カウリスマキは独自のユーモアを入れることで作品に彼特有の味を出している。本作に関していえば、劇中に登場するレストランになぜかカウリスマキと彼の兄が経営する店にあったジミ・ヘンドリクス*1の肖像画が飾られていることや、同レストランで寿司*2をメニューとして提供しようとする場面の一部始終(日本人なら特に笑わずにはいられないだろう)が挙げられるだろう。
(*1)ジミ・ヘンドリクスは「愛国心を持つなら地球に持て!魂を国家に管理させるな!」という発言で知られている(参照元:cinefil)(*2)アキ・カウリスマキは日本好きともいわれ、来日のたびに毎晩老夫婦が営む渋谷の寿司店に通っており、その老夫婦をテーマに映画を作ろうとしていた