7作目:偽善的な世の中に波紋を起こす。「命を奪うことを楽しむ人間」の姿を非批判的に描いた映画『サファリ』|GOOD CINEMA PICKS
「命の価値は誰がつけるのか?」こんな質問が存在していること自体がおかしいと思うかもしれない。命の価値は誰にもつけられないというのが一般的な道徳だろう。しかし、これはいたって現実的な質問でもある。サハラ砂漠以南のアフリカ24カ国では野生動物の狩猟が許可されていて、年間1万8500人のハンターが、動物の毛皮や頭だけを目的に狩猟する“トロフィー・ハンティンク”を楽しんでいるのだ。それぞれの動物に値段がつけられ、ハンターたちはお金を払い、合法で「命を奪うこと」を楽しむ。アフリカ諸国がこのトロフィー・ハンティングで得る収益は年間約217億円とされていて、この貴重な観光収入の獲得のため各国が積極的にハンティングを許可しているという背景がある。 今回の社会問題に焦点を当てた映画を紹介する『GOOD CINEMA PICKS』では、このトロフィー・ハンティングを楽しむ欧州からの観光客ハンターたちの姿を映し出したドキュメンタリー『サファリ』を紹介する。
トロフィー・ハンティングはいうまでもなく残酷な行為だ。
ハンターたちは、動物を殺し、解体は現地の人に任す。食べるわけでもない。殺した動物とポーズを決め写真を撮ったり、戦利品として剥製にしたりと「殺す」