#15 「肌荒れって美しい」。ニキビに美を見出した女性フォトグラファーが、世の中の“美の基準”を再定義する|GOOD ART GALLERY
13歳の頃、額にぽつりとした赤い突起を見つけた。気がつくと筆者の額や頬、デコルテや背中はそれに埋め尽くされていく。「あらあら、私もハタチくらいまでニキビがよくできていたの。私に似ちゃったね」と笑いながら語る母の言葉に絶望した。20歳!あと7年。小学校を出たばかりの筆者にとって、それは無期懲役を宣告されたかのように感じた。そして母の言葉通り、筆者の青春期はニキビに取り憑かれた。同級生や、近所のおばさん、そのほか多くの人にニキビを憐れまれるたびに、肌とともに心まで醜くなる感じがした。
「シカトされるのも、モテないのも、成績が悪いのも、足が遅いのも、何より可愛くないのも、全部、ぜーんぶニキビのせいだ」ニキビ=美の仇。筆者は結局10年弱、この方程式に苦しめられることになった。しかし、今、揺るぎないこの等式を根底から覆そうと活動するアーティストがいる。それが、イギリス在住の女性写真家、Sophie Harris-Taylor(ソフィ・ハリス・テイラー)だ。彼女は、女性のリアルな肌質を美しく写真として切り取ることで、従来の美の認識に一石を投じている。今回は、そんな「ありのままの素肌」をテーマにした彼女の連作、「Epidermis(エピデルミス)」