【シネマモード】2011年、「出会えてよかった」映画をふり返る。
そんな意義深い年をふり返ってみると、しみじみ出会えてよかったと思える劇場公開作品が5つ思い浮かびます。『未来を生きる君たちへ』、『127時間』、『ブラック・スワン』、『奇跡』、『イリュージョニスト』が、今年の私のお気に入りとなりました。
特に『ブラック・スワン』は、ファッションの面でも注目したい部分が多い作品。ナタリー・ポートマン演じる優等生タイプのニナが、純真な白鳥と官能的な黒鳥の二役を演じなければならないことで混乱をきたしていく過程で“もう一人の自分”を発見していくのですが、もともと白や淡い色を好んでいたニナが(ベッドルームはパステルピンクづくし!)、どう変化・変容していくかが見ものです。セクシーなライバルを演じたミラ・クニスとの対称性も面白く、2人は食べ物からして正反対。変化する前のニナは、グレープフルーツやケーキなどパステル調のもの。反対にミラ演じるリリーは着るものから食べ物まで、完全なる肉食女の体(てい)。2人の女性の描き方だけでなく、映画的言語を駆使して描かれていくバレエダンサーの深層心理が、恐ろしいほどの鋭さで描かれていて、映画好きにはたまりませんでした。
この作品は震災後の5月公開でしたが、私の周囲には公開直後から「観た!」