クリスチャン・ベイル インタビュー 『ダークナイト』シリーズ7年間に万感の思い
虚構はその場しのぎとしては功を奏した。おかげで人々は希望を持つことができたんだ。ただ、それがいつまでも続くわけがなく、ゴッサムでは今、その歪みが表面化しつつある…といった状態なんだ。バットマンは消えてしまい、ブルース・ウェインも見る影もなく、完全に世捨て人と化しているんだ。彼は一連のことで自責の念に苛まれていて、誰にも会いたくないんだ。世間との関係を完全に断ち切ってしまっている。体を鍛えるようなことも一切しておらず、衰弱している。精神的にも疲れ果てているんだ」。
と惨憺たる様子で、長い歳月によってブルースは“ヒーロー”でなくなってしまったと語る。そんな彼が『ダークナイト ライジング』では、アンハサウェイ演じるキャット・ウーマンやジョセフ・ゴードン=レヴィット演じる若き警官・ジョンたちに触れることで、ひとりの人間として、そして多くの人々の希望を背負ったヒーローとして再び復活を果たすこととなる。
そんなどんな正義のヒーローでも、どんな凶悪なヒールでも、マスクを一枚はがせば悩みを抱えたただの人間――というのが、アメコミ作品の魅力の一つ。本シリーズを通して“ヒーロー”であるバットマンと、世界的な大富豪だが“ひとりの人間”であるブルースとをどのように演じ分けてきたのだろうか。