カンヌ常連のロシア新鋭監督が“女の業”描く…今冬2作連続公開
本作により、モスクワ国際映画祭でズビャギンツェフは「最優秀監督賞」を受賞、さらにロシアのアカデミー賞といわれるNIKA賞では「主演女優賞」「助演女優賞」をW受賞した。
現代のモスクワ。初老の資産家と再婚したエレナは、生活感のない高級マンションで、一見穏やかな生活を送っている。だがその陰で、彼女は働く気のない息子家族の生活費を工面していた。だが、そんな日常が、夫の急病により一変。「明日、遺言を作成する」という彼の言葉を聞き、彼女がとった行動とは…。
一方、『ヴェラの祈り』は、妻であり、母である以前に“女である”という熱い感情が、やがて夫のみならず、家族そのものを飲み込む奔流となり、悲劇をもたらしていく物語。深い海より暗い孤独の底を見てしまった女性の、戻れない道を描いた現代の「黙示録」だ。
「赤ちゃんができたの。でもあなたの子ではない」。ひと夏を過ごすため、亡き父が遺した田舎の家を訪れた家族の空気は、妻・ヴェラのそのひと言で暗転。夫の嫉妬と怒りは、幼い子どもたちを巻き込みながら、予想外の悲劇を引き起こす…。2003年の『父、帰る』以来、11年ぶりに実現したズビャギンツェフ監督作品の劇場公開に、配給元の女性宣伝担当者は、「もしエレナやヴェラと同じような境遇になったとき、愛する人に対して、私なら一体どんな行動を取るのだろう。